リベンジポルノとは|加害者・被害者にならないための5つのこと
リベンジポルノとは、恋人に振られた腹いせとして、私的な目的で撮影した、性的な画像や動画を、誰でも閲覧可能なネット上に投稿する行為です。
2013年に起きた『三鷹ストーカー殺人事件(※)』をきっかけに、世間でも広く認知されるようになりました。
警察庁の統計によると、2017年におけるリベンジポルノ相談件数は、1,243件に上り、過去最多の件数となっています。
ネットが普及した現代では、誰 もがリベンジポルノの被害者・加害者になる可能性があるといえるでしょう。
この記事ではリベンジポルノに該当する行為や規制する法律などについて解説します。
※三鷹ストーカー殺人事・・・元交際相手である女子高生に対し、別れた後も執拗に付きまとい、刺殺した事件。刺殺後、犯人は被害者の性的な画像や動画を誰でも閲覧可能なネット上に投稿し、被害者を辱めた。 |
リベンジポルノに該当する行為とは?
リベンジポルノは、第三者にみられることを目的としていない、個人が特定できる性的な電子情報(画像、動画など)や、有体物(写真など)を不特定多数の人物が閲覧できるようにする行為です。
また、『性的』とは、具体的に以下のようなものを指します。
・性交・性交類似行為
・他人が撮影対象者の性器等を触る行為又は撮影対象者が他人の性器等を触る行為で、性欲を興奮、刺激するもの
・衣服の全部又は一部を着けない姿態で、殊更に性的な部位が露出され又は強調されているもので、かつ、性欲を興奮、刺激するもの
引用元:リベンジポルノの概要と被害防止ポイント|埼玉警察
ネットに投稿しなくても、画像や動画をグループLineで共有し、不特定多数の人に公開したり、写真を不特定多数の人に配布したりする行為は、リベンジポルノに該当する可能性があります。
リベンジポルノは、電子情報または有体物と限定されています。個人を特定できる性的な音声を不特定多数の人物に公開した場合、リベンジポルノには該当しません。
ですが、名誉毀損などを理由として起訴される可能性は十分に考えられます。
リベンジポルノの被害が深刻になる3つの理由
リベンジポルノは、ボタン1つでできてしまう犯罪です。その簡単さとは裏腹に、被害者に深刻な被害をもたらします。
ここでは、リベンジポルノの被害が深刻になる3つの理由を解説します。
一瞬で世界中に広がってしまう
ネットはご存知の通り世界につながっています。そのため、投稿された性的な画像や動画は、一瞬で世界中に広がってしまうのです。
被害が世界規模になってしまうため、どこまで被害が拡大しているか、判断することができません。
すべてを削除することができない
弁護士に依頼することで、画像や動画を消してもらえます。しかし、削除前に誰かが保存していた場合、個人が保有するものまで削除することはできません。
なにかの拍子に、再びネット上に投稿される可能性もありえます。削除しても、一生不安が残ってしまうのがリベンジポルノなのです。
周囲に相談できず孤立する可能性がある
自分の性的な画像や動画が投稿されてしまったら、恥ずかしくて家族や友人に相談しにくいと思われます。
また、リベンジポルノは『親告罪』と呼ばれ、被害者からの告訴がない限り、検察が犯人を裁判にかけることができません。
そのため、被害者が誰にも言えない場合、加害者を罪に問えないだけではなく、一人で恐怖と不安を抱えてしまう可能性があるのです。
リベンジポルノに関する法律
2013年にリベンジポルノが世間に認識されるとともに、これを規制するための法律もできました。それが、『リベンジポルノ防止法』です。
ただ、リベンジポルノ防止法はまだ新しく、すべてのリベンジポルノ被害に対応できるわけではありません。
該当しない場合、他の刑罰に問えるかもしれません。ここでは、リベンジポルノを規制する法律についてご紹介します。
リベンジポルノ防止法とは
リベンジポルノ防止法は、正式には『私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律』と呼ばれ、以下のような目的のもと制定されました。
私事性的画像記録の提供等により私生活の平穏を侵害する行為を処罰するとともに、個人の名誉及び私生活の平穏の侵害による被害の発生又はその拡大を防止すること
被写体を特定することができるようにして(顔を写す、個人情報を添付するなど)私事性的画像を、不特定多数の人物が閲覧できるようにした場合(ネット上に投稿するなど)、『公表罪』として50万円以下の罰金または3年以下の懲役が科せられるでしょう。
また、上記の行為をさせる目的で、第三者に私事性的画像を提供した場合、30万円以下の罰金、または1年以下の懲役に処せられる可能性があります。
該当する可能性のある刑法
リベンジポルノ防止法はあくまで、電子情報(画像、動画など)や、有体物(写真など)が対象になります。
音声や文字情報(○○が○○と性行為を行っていたなど)のみを投稿されたり、投稿されていないが、性的な画像などをたてに脅されたりした場合、以下の刑法に抵触するかもしれません。
- 音声や文字情報を、不特定多数が閲覧できる場所に投稿された場合
→名誉棄損(刑法第230条):50万円以下の罰金、または3年以下の懲役、もしくは禁錮 - 性的な画像などで交際を強要された場合
→強要罪(刑法第223条):3年以下の懲役 - 性的な画像などで被害者または被害者の親族に対し、生命・身体・自由・名誉・財産を害することを告げられた場合
→脅迫罪(刑法第222条):30万円以下の罰金、または2年以下の懲役 - 性的な画像などで金銭を請求された場合
→恐喝罪(刑法第249条):10年以下の懲役
また、被害者が18歳未満の場合、『児童買春』に該当し、300万円以下の罰金または5年以下の懲役が科せられます。
被害者と加害者の関係は恋人だけじゃない!新しいリベンジポルノとは
ネットの普及などさまざまな社会の変化から、リベンジポルノの被害者と加害者の関係や被害内容が変化しています。
友人間でもリベンジポルノは発生する!
元は恋人に振られた腹いせに行われたことから、リベンジ(復讐)ポルノと命名されました。しかし、2017年の被害状況をみてみると、被害者と加害者の関係は一概に、恋人とはいえないようです。
恋人の次に多いのは、『ネット関係のみの知人・友人』です。最近ではSNSやアプリなどで出会いを求めることができます。また、簡単なやり取りだけで相手を信じてしまう人も多くいます。
しかし、安易に相手を信じ、ご自身の性的な画像などを送ってしまうのは危険です。相手に使用目的を強制することはできません。
新しいリベンジポルノとは
新しいリベンジポルノとして、『フェイクポルノ』や『風俗店で働いている(働いたこと)を周囲にばらされる』という事件が発生しています。
フェイクポルノとは、既存のグラビアやAVの画像や動画を編集して、個人の顔をくっつけ、あたかも本人がしているように見せることです。主に、有名な女優などが被害に遭っています。しかし、個人でも簡単に写真を編集できますので、SNSなどにアップした一般的な画像から被害に遭ってしまうことも考えられるでしょう。
また、ダブルワークとして風俗店で勤務していたことを周囲にバラされるという事件も発生しているようです。
参考:風俗バイトをバラされた!「新型リベンジポルノ」発生|東スポ
クラブやキャバクラ、ガールズバーなど性的なサービスが禁止されているものでも、一般企業から見れば会社の評価に関わってきます。そのため、一般企業からそれを理由に退職を求められても、必ずしも不当解雇とは断言できません。
このように、さまざまな方法や手段でリベンジポルノの被害は拡大しています。
まとめ|絶対に撮らない・撮らせない!
最大の対策は、性的な画像や動画を撮らない、撮らせないことです。相手から熱心に求められると、愛されている気がして、つい許可してしまう人もいます。しかし、リスクがあることを忘れてはいけません。
もし、被害に遭ってしまった場合は、すぐに警察または弁護士に相談しましょう。画像や動画の削除とともに、犯人を特定し何らかの罪に問うことができるかもしれません。