誹謗中傷と批判の違いとは?具体例を挙げて弁護士が解説
SNSで嫌なことを言われたんですけど、誹謗中傷に当たりませんか?それとも、単なる批判で許されるのでしょうか?
私が不快に感じれば、誹謗中傷だと思うのですが…。
SNSで意見を言っただけなのに、「誹謗中傷だ!」と言われました。そんなつもりはないんですが、本当に誹謗中傷なのでしょうか?
誹謗中傷等に悩む企業や個人から3000件以上の相談を受け、迅速に解決してきた法律事務所「弁護士法人ATB」が、このような疑問にお答えします。
最後までお読み頂ければ、「誹謗中傷と批判の違い」などが分かります。
誹謗中傷と批判を区別することで、誹謗中傷を受けた場合は適切に対応できますし、自分自身が誹謗中傷しないように注意できます。
具体例も挙げますので、ぜひ参考にして下さい。
辞書的な意味
誹謗中傷とは?
根拠のない悪口を言い相手を傷つけること
(広辞苑(第七版・岩波書店)より引用)
批判とは?
①物事の真偽や善悪を批評し判定すること。
②人物・行為・判断・学説・作品などの価値・能力・正当性・妥当性などを評価すること。否定的内容のものをいう場合が多い。
(広辞苑(第七版・岩波書店)より引用)
誹謗中傷と批判の違いとは?
もちろん人や場面によって異なりますが、ネット上の誹謗中傷・批判については、
・誹謗中傷=法律に違反する言葉の暴力全般
・批判=否定的な内容ではあるものの、法律に違反するとは言えない意見や評価 |
こういう風に分けられると考えます。
否定的なことは全部誹謗中傷になるわけではありません。
批判のレベルを超えて、刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪、民法上の不法行為などに当たるものが誹謗中傷です。
つまり誹謗中傷と批判の違いは、「法律に違反するかどうか」と言えます。
どういう法律違反があり得るかは、下記で具体的に解説しています。
とは言っても、なかなかイメージしづらいと思いますので、いくつか具体例を挙げてみましょう。
具体例
人格攻撃は誹謗中傷の可能性が高い
例えばSNSで、ある芸人さんのことを、
「昔と違って、最近は全然面白くない」
と書くのは、否定的な内容ではあるものの、批判に過ぎません。
ところが、
「昔と違って、最近は全然面白くない。もう死ねばいいのに」
と書いてしまうと、刑法上の侮辱罪に当たり得ますし、民法上の不法行為により慰謝料の支払義務が発生し得ます。
両者の違いは、相手の発言や行動に向けられたのか、人格に向けられたのか、ということです。
「面白くない」というのは、その芸人さんの発言や行動に対するものですが、「もう死ねばいいのに」というのは、その芸人さん自体に対するものです。
同様に、容姿・国籍・性別・出身地などに対するものも、人格攻撃に当たる可能性が高いです。
社会的評価を下げるものは誹謗中傷の可能性が高い
たとえ真実であっても、事実を示して、相手の社会的評価を下げると、原則として名誉毀損罪が成立します。
たとえば、SNSに次のような投稿をしたとします。
・○○は犯罪歴があるから、信用できない
・○○はセクハラの常習犯だから、上に立つ人間ではない ・○○は反社会的勢力とつながっているから、関わってはいけない |
「信用できない」「上に立つ人間ではない」「関わってはいけない」という部分だけを見れば、単なる批判に過ぎません。
ところが、「犯罪歴がある」などの理由部分が、相手の社会的評価を下げるとして名誉毀損罪に当たる可能性があります。
この点、「公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない」(刑法230条の2第1項)など、一定の条件を満たせば、社会的評価を下げても罰せられない場合もあります。
しかし、これはあくまでも例外なので注意して下さい。
危害を加えるようなことを書くと誹謗中傷の可能性が高い
例えばあるイベントを指して、「開催を中止すべきだ。開催するなら、会場を爆破する」と投稿したとします。
「中止すべきだ」というのは、単なる批判に過ぎません。色んな意見があるのは当然です。
ところが「会場を爆破する」というのは、脅迫罪(刑法222条)に当たり得ます。
あるいは、爆破すると脅して中止させようとしたということで、強要罪(刑法223条)にも当たり得ます。
同様に、単に相手を批判するだけでなく、「殺す」「ボコボコにしてやる」「夜道に気をつけろ」など、危害を加えるようなことを書くと誹謗中傷に当たる可能性が高いです。
最終的には裁判所が決めます
ここまで誹謗中傷と批判の違いを解説しましたが、それを決めるのは、最終的には裁判所です。
そして裁判所がどういう基準で決めるかというと、例えば名誉毀損罪の要件である、社会的評価を下げるかどうかに関して言えば、一般読者を基準にします。
つまり、いくら本人が「これは批判に過ぎない!」と思っていても、客観的に誹謗中傷であれば、それは誹謗中傷です。
反対に、言われた人が不快に感じて、「これは誹謗中傷だ!」と思っても、客観的に誹謗中傷でなければ、それは誹謗中傷ではありません。
ただ、否定的なことを全て誹謗中傷と捉える人もいますし、明らかな誹謗中傷を批判と言い張る人もいます。
認識が異なる場合は論争しても仕方ないので、冷静に対応した方が良いでしょう。
お困りの方は、当弁護士法人へご相談下さい
誹謗中傷と批判の違いを解説しましたが、なかなか自分で区別するのは難しいことも多いでしょう。
ですから、もしネットでネガティブなことを言われて、「これは誹謗中傷では?」と思ったら、一度弁護士に相談するのもオススメです。
その結果、「誹謗中傷だと思っていたけど批判の域を出なかった」ということもあれば、明らかな誹謗中傷に当たることもあります。
当弁護士法人では、誹謗中傷を書き込んだ人の特定から損害賠償請求、警察への被害届の提出・告訴も全て対応しております。
初回の相談は無料ですので(書き込み者は除く)、下記からお申し込み下さい。土日を含めできる限り迅速な対応を心がけております。
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まとめ
誹謗中傷と批判の違いを解説しました。
否定的なことは全部誹謗中傷と捉える人もいますが、決してそうではありません。
誹謗中傷と批判を区別することで、誹謗中傷を受けた場合は適切に対応できますし、自分自身が誹謗中傷しないように注意できますから、意識してみて下さい。