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「破産者マップ」で拡散された破産者情報を削除する手順

ネット問題

更新日:2024/01/23

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「破産者マップ」は閉鎖されたけれど、掲載されていた自己破産者情報がSNSや匿名掲示板などに転載されて困っている人がいるらしいわね
Lawyer
破産者マップの情報を転載することは、プライバシー権侵害、名誉権侵害と判断されて、消せる可能性が高いから、ここで、その方法を詳しく紹介しよう。

「破産者マップ」問題の問題点は2つ

破産者マップ」とは、官報に掲載されている破産者情報を地図上にまとめたサイトです。自己破産した際には、官報に名前や住所などが掲載されます。官報とは、法律、政令、条約等の公布などの情報のほか、破産手続き開始の告知として破産者(債務者)の氏名や住所などが記載されている広報紙です。

しかし、官報に掲載されている破産者情報をくまなくチェックしている人は、金融機関の社員など一部の人に限られます。そのため、官報に掲載されることは、大きなデメリットとは言えないのです。

官報に掲載された破産者情報(右下部分、なお、個人情報保護のため画像を加工しています)

「破産者マップ」が登場したことにより、破産者は大きな精神的ショックを受けてしまいました。しかも、自己破産、個人再生、任意整理のいずれを実行した人も一律に「破産者」と掲載したことで、事実とは異なる形で情報が公開されたのです。

また、自己破産の理由までは記載されないため、連帯保証による破産など被害者への誹謗中傷もありました。その後、破産者マップは閉鎖されましたが、5ちゃんやX(旧Twitter)、魚拓へ転載されたことで、情報が拡散され続けています。

破産者マップの問題点は、「プライバシー権侵害」と「名誉権侵害」の2つです。

プライバシー権侵害

「破産者マップ」は、プライバシー権侵害にあたります。これは、「一般に知られておらず、公開されたくない情報を誰にでも見られる形で公開され、その結果公開された人が不快・不安に思うため」です。官報はほとんどの人が見ないため、破産者として公開されても一般に知られる心配はありませんが、破産者マップとして公開すれば、多くの人の目に留まります。しかも、地図上に表示されることで、破産者がどこに住んでいるのかが一目でわかるのです。それだけ、公開された人は大きな精神的ダメージを受けます。

名誉権侵害

名誉とは、名声や信用、品性、徳行など、その人が受ける社会的評価のことです。その人の社会的評価を下げる言動や行動をした場合は、名誉権侵害にあたります。自己破産した人は、債務を完済できなかったということのため、破産者マップに掲載されている情報は、「社会的評価を下げる可能性のある情報」と言えます。

「破産者マップ」は閉鎖されましたが、情報が転載されたことで、今なお誹謗中傷や世間からの冷ややかな目に悩まされている人がいます。

破産者マップ(Web魚拓より)

破産者マップから転載された情報の消し方

「破産者マップ」自体は閉鎖されており、現在はアクセスできません。さらに破産者マップは公開当時から運営者不明という状況でした。しかし破産者マップの情報をWeb魚拓で保存したものが残っており、さらに破産者情報が匿名掲示板に貼り付けられる状況が続いています。

破産者マップに掲載された情報が匿名掲示板やSNSなどに転載されている場合、書き込みされている匿名掲示板やSNSに対して個別の削除依頼になります。

その際、
①プライバシー権侵害
②名誉権侵害
といった理由で削除依頼すれば、書き込みを削除できる可能性が高くなります。

転載先に応じた削除申請の方法を詳しくご紹介します。

魚拓の消し方

Web魚拓は削除申請できるようになっていますが、対応されない場合もあります。Web魚拓のサービスは複数あり、それぞれ削除依頼の方法が異なります。海外のWeb魚拓の場合、言語の壁や法律の違いなどによって、対応されない可能性もあります。該当のWeb魚拓のページを参照し、「削除申請」や「削除依頼」と記載されているボタンをクリックし、指示に従って申請します。

Google検索から除外

また、Web魚拓が削除申請に応じない場合は、Google検索から除外してもらう手段もあります。次の流れで申請しましょう。

(1)https://support.google.com/legal/troubleshooter/1114905?rd=1#ts=1115655 にアクセスし、表示された項目から「ウェブ検索」を選択

手順1

(2)「Google検索結果から個人情報を削除したい」を選択

手順2

(3)「Google検索結果に名誉毀損にあたるコンテンツを見つけた」を選択

手順3

(4)「その他の法的な問題を報告できるフォームをご利用ください」を選択

手順4

(5)必要事項を記入して送信

手順5

5ちゃんねると2ちゃんねる(2ch.sc)の削除依頼方法

5ちゃんねるとその情報を転載している2ちゃんねる(2ch.sc)には、破産者マップに掲載されている人物の名前や住所が書き込まれています。この場合、メールと削除要請フォームで削除申請できます。削除要請フォームからの申請の場合は、削除依頼の内容が公開されるため、個人への攻撃が激化するリスクを伴います。そのため、メールで申請することが大切です。

メール

送信先は「meiyokison@5ch.net」、件名は「削除申し立て」、本文には「削除希望の投稿があるスレッドURLとレス番号」、「削除を希望する理由」を記載しましょう。

削除要請フォーム

下記の手順で削除申請しましょう。

1.「https://qb5.5ch.net/saku2ch/index2.html」にアクセス

2.名前メールアドレス該当のスレッドURLレス番号削除理由などを記載して送信

削除要請フォーム
破産者情報らしき書き込みがなされた5ちゃんねるスレッドの例
※削除板の場合、依頼者の名前が掲示場に残るリスクがあります

おーぷん2ちゃんねるでの削除依頼方法

おーぷん2ちゃんねるは、2ちゃんねる形式の匿名掲示板です。前述の5ちゃんねるや2ちゃんねる(2ch.sc)」とは別個の掲示板として運営されています。おーぷん2ちゃんねるの削除依頼の手順をご紹介します。

1.削除依頼したいスレッドを開く

2.画面右上の「削除依頼」を選択

3.削除依頼の「理由」、「レス番号」、「詳細な理由」を入力して送信

おーぷん2ちゃんねる削除

まとめサイトでの削除依頼方法

匿名掲示板やSNSの書き込みを転載し作成した、いわゆる「まとめサイト」にも破産者マップからの個人情報が掲載される可能性があります。そのような場合は、それぞれのまとめサイトで削除依頼フォームから削除申請を行う必要があります。削除依頼フォームがない場合は、問い合わせページから削除依頼を送りましょう。

爆サイでの削除依頼方法

爆サイは、各スレッドの下部に削除フォームが設置されています。削除したいスレッド番号とコメント番号(番号に「No.」「#」などは付けないようにします)、削除理由、名前、メールアドレスなどを記入して送信します。なお、不足事項がある場合は投稿が削除されません。また、複数の投稿を削除依頼したい場合でも、投稿1つについて1回ずつ削除申請を行う必要があります。

爆サイ削除画面

X(旧Twitter)などSNSでの削除依頼方法

X(旧Twitter)やinstagram、FacebookなどSNSでの削除依頼は、運営に連絡して削除を依頼するか本人に直接削除依頼をするかします。それぞれのSNSに設置されている通報フォームから運営に報告すれば、アカウントの凍結や投稿の削除など対応してくれます。しかし、その後も再び投稿される可能性もあるため、本人にも連絡するというのも一つの手段です。投稿を繰り返す場合は、名誉権侵害とプライバシー権侵害で法的措置をとる意向を示しましょう。もっとも、この場合はそのような連絡が来ているなど晒す人も稀にいることは心に留めておいてください。

迅速な行動が大切

法的措置による削除申請や損害賠償請求をする場合は、迅速に行動しましょう。プロバイダのログ保管には期限があるため、一定期間が過ぎると個人を特定できなくなります。破産者マップの転載問題を解決する第一歩は削除依頼ですが、繰り返し投稿される場合は法的措置をとることでも抑止に繋がることがあります。

書き込んだ人を特定して損害賠償請求できる?

破産者マップに掲載された情報を転載し書き込んだ人を特定し、損害賠償請求したいと考えている方もいるでしょう。破産者マップの情報の転載は、プライバシー権侵害と名誉権侵害にあたるため、損害賠償請求できる可能性があります。

次のような流れで損害賠償請求をします。

【1】証拠の保全と削除依頼

破産者マップの転載を見つけたら、即座に証拠を押さえましょう。スクリーンショットや魚拓で転載された証拠を保全します。しかし、問題となるのは転載した破産者マップに関する投稿を迅速に削除したとしても、削除前に投稿を見た別の人物が拡散さている可能性があります。そのため、転載と言う行為は被害者にとっては許しがたいことなので、転載した人、つまり加害者の特定を行う必要があります(これについて次節で説明します)。証拠保全が済んだ後、各掲示板やSNSで定められている方法で削除依頼しましょう。

すぐに削除されるわけではないため、削除依頼したらすぐに次のステップへ進むことが大切です。また、ネットに強い弁護士に依頼すれば、削除依頼に迅速に対応してもらえる可能性が高まります。

【2】転載した個人を特定する

自分で個人を特定するにはハードルが高く、思っている以上に時間がかかります。ネットに強い弁護士に依頼することでそのような負担を軽減し、より短時間での対応が可能になります。迅速に損害賠償請求まで進めて、被害を最小限に食い止めるためには有効な手段です。

個人の特定には、発信者情報開示請求という方法を使います。

詳しくは下記記事をご覧ください。

【3】損害賠償請求する

損害賠償請求と言えば、裁判所で相手方と対峙するイメージを持つ方もいるでしょう。損害賠償請求には、話し合いで賠償金額を決める「示談交渉」、調停委員が間に入って話し合う「調停」、双方の主張に応じて裁判長が判決を下す「民事訴訟」があります。民事訴訟の場合、6ヶ月~2年程度の期間がかかる可能性もあるため、できるだけ示談交渉や調停で解決したいところでしょう。

損害賠償請求で得られる金額と裁判にかかる費用

名誉権侵害やプライバシー権侵害で損害賠償請求した場合に得られる金額は、被害者の社会的立場で異なります。一般人の場合は10~50万円ですが、有名人や事業主など、名誉権侵害やプライバシー権侵害によって収入に支障をきたす場合は、50万~200万円程度が相場とされていますまた、損害賠償請求と言うことで民事訴訟になります。

それでは裁判を行う場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。

損害賠償請求(交渉・裁判外)、いわゆる示談に持ち込んだ場合、着手金が10万円から、報酬金は損害賠償金額の成果額の16%が相場です。さらに損害賠償請求(訴訟)、すなわち裁判になった場合、着手金が20万円から、報酬金は損害賠償金額の成果額の16~30%が相場になります。その他に実費1~3万円程度というのが一般的な相場ですが、そこは事前に法律事務所に問い合わせるといいでしょう。

また、依頼前の相談では、1時間あたり5,000~1万円程度の相談料がかかることが多いようです。弁護士によっては、初回相談無料、着手金無料など料金面でメリットがあるため、費用をできるだけ抑えたい方は、そのような弁護士を探すのもひとつの手です。

まとめ 個人での対応には限界も……

「破産者マップ」からの転載に個人で対応するのには限界があります。削除依頼ひとつにしても、正しく削除理由を伝えられなければ、投稿は削除されません。また、個人を特定して損害賠償請求する場合も、情報開示請求や民事訴訟、調停など様々な面で苦労する可能性があります。

そのため、インターネット関連の事件に強い弁護士に相談することが最短の解決手段と言えるでしょう。初回相談無料の弁護士もいるので、まず、相談することをおすすめします。

誹謗中傷弁護士・藤吉監修のブログ

この記事の監修者

弁護士法人ATB

これまで、インターネット匿名掲示板等での『誹謗中傷』に悩む企業や人の相談を 3000 件以上受け、迅速に解決してきた弁護士事務所です。 「5ちゃんねる(2ちゃんねる)」「爆サイ」「ホスラブ」「X (旧Twitter)」など、数10種類以上のWebサイト、SNS、掲示板の投稿への削除依頼、発信者情報開示請求(投稿者の特定)等に、プロフェッショナルとして幅広く柔軟に対応しています。