リベンジポルノ被害の相談窓口3つとその選び方
リベンジポルノの被害に遭った場合、以下の3つの相談窓口に相談することができます。
- 警察
- セーファーインターネット協会
- 弁護士
プライバシーは個人の尊厳にも関わるナイーブな内容なので、家族や友人に相談しにくいかと思います。被害に遭ったことを、絶対に知られたくない方もいるでしょう。
リベンジポルノは『親告罪』といい、被害者本人が警察などに被害届などを提出しないと、罪に問うことができません。
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律第三条4項は、「前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない」としており、リベンジポルノの提供等についても、親告罪としているためです。
この記事では、それぞれの相談窓口で行ってくれること、相談時に必要な証拠について解説します。
リベンジポルノに対応してくれる3つの相談窓口
ここでは、3つの相談窓口が、どのようなことを行ってくれるのかご紹介します。
それぞれ役目が違いますので、ご自身の状況に合わせて、相談窓口を選びましょう。
警察
証拠がある場合、警察に相談することで、犯人への積極的な対応(厳重注意や逮捕)が期待できるでしょう。
警察への相談での最大の利点は、国家機関の力による強制捜査(逮捕・押収など)が可能なことです。一方で、そのような強大な力を保持している存在である以上、被害の程度が強度でない場合には、警察の対応が鈍くなることも多々想定されます。
警察への相談については、最寄りの警察署でもよいですし、電話で相談したい場合は、『性犯罪被害相談電話(#8103)』または『インターネット安全・安心相談』で受け付けています。
どのような証拠があればよいのかに関してはこちら『相談の際に確保しておくとよい証拠(内部リンク)』をご覧ください。
また、弁護士に依頼することで、証拠保全が可能なケースもあります。
セーファーインターネット協会
セーファーインターネット協会は、相談に応じて投稿された画像や動画を、無料で削除してくれます。
また、対応も早く、3日以内で投稿された国内の画像や、動画など約60%以上を削除してくれるようです。
参考リンク:SIA セーフライン活動報告
ただし、他人がすでにダウンロードしたものまでは削除できません。そのため、画像や動画を削除しても、今後誰かが、他のサイトに保存していたものを転載したり拡散したりすることも考えられます。
弁護士
弁護士に相談することで、以下のようなことができる場合があります。
- 証拠の保全
- 犯人の個人情報の公開請求
- 画像・動画の削除
- 相手に損害の賠償請求をする
リベンジポルノの犯人は元交際相手など、被害者に心当たりがあるのがほとんどです。しかし、状況によっては心当たりがない、ネット上のみの関係で相手の個人情報を知らないこともあるかもしれません。
そのような場合は弁護士を通し、投稿された掲示板やSNSなどの管理者(会社)に対し、発信者の情報を公開するよう請求できます。
被害者本人から請求することもできますが、個人での請求は、個人情報保護などを理由に請求を却下される場合もあります。
また、弁護士を通し、管理者(会社)に該当する画像や動画を削除するよう請求することもできます。
発信者の情報公開の請求と同様に、被害者本人から請求することも出来ますが、やはり情報公開の請求と同様の理由で、請求が却下されるケースもあります。
リベンジポルノ被害の相談事例
実際に、被害に遭ってしまった相談事例についてご紹介します。
恋人の送った性的な画像をネットに投稿された
17歳 女子 高2 昨年、ネットで知り合った彼氏に頼まれ自撮りの様々なポーズの画像を送ったが、不安になって自分の名前で検索したら、画像が出てきた。消してほしい。
引用元:全国webカウンセリング協議会
ネット上の知り合いに性的な画像を流失された相談
16歳 高1女子 SNSで知り合った男性に、自撮り画像を買ってくれと持ちかけられ、複数枚のヌード画像を送ったが、お金はもらえず、送った画像が素人の画像投稿サイトに流出。
リベンジポルノの相談から解決までの流れ
リベンジポルノの被害に遭った場合、解決までは下図のように進みます。
具体的にどのようなことをするのかご紹介します。
相談窓口に相談する
事件が発生した場合は、できるだけ証拠を集めた上、相談窓口でどのように問題を解決していくか相談することをおすすめします。
集めるべき証拠の具体的な内容は『相談時に準備しておきたい4つの証拠』を参考にしてください。
画像・動画の削除依頼を申請する
証拠が保全できたら、画像・動画の削除依頼を申請しましょう。画像や動画の削除するためには、まず投稿されたサイトの管理者(運営会社)に削除申請を行います。
受けた側が削除するのが妥当と判断した場合、管理者側が削除を行います。この申請を行えるのは、被害者本人または弁護士のみです。
犯人を特定・相手に慰謝料を請求する
犯人を特定できたら、民事訴訟を提起し慰謝料を請求することができます。一般的に、慰謝料の相場は50~100万円といわれています。
ただし、状況によっては相場以上になる可能性が十分にあり得ます。具体的な金額については、弁護士へ聞いてみましょう。
警察・検察等の捜査機関に刑事告訴する
犯人が逮捕され、刑事事件になった場合、警察・検察等の捜査機関に意見を陳述する機会があるのが通常です。刑事告訴自体で慰謝料を請求することはできませんが、有罪・無罪の決定してもらえます。有罪になった場合、犯人に刑事罰が科せられるでしょう。
相談時に準備しておきたい4つの証拠
相談の際に証拠があることで、相談窓口の方もあなたにとって最善の解決を提示してくれるでしょう。
ここでは、どのような証拠を集めればよいのかご紹介します。
ネット投稿などの記録
ネットに画像や動画が投稿されてしまった場合、以下のものを証拠として残しておきましょう。
- 投稿された画像や動画
(紙への印刷・スクリーンショットの撮影など) - 画像や動画が投稿されたサイトのURL
相手が投稿を削除しても、リベンジポルノされたことを証明するためにも、紙への印刷やスクリーンショットでの撮影は重要になります。
相手とのやりとりの記録
インターネットに投稿されてはいないが画像や動画をネタに脅されている場合、脅迫罪や恐喝罪、強要罪いずれかの罪に該当する可能性があります。
この場合、以下のような証拠があると良いでしょう。
- 実際に脅されている音声録音やメールなどの記録
- 状況・日付を記した詳細なメモや日記
相手の個人情報や、いつから脅迫が始まったのかも記録に残しておくとよいでしょう。
最近は、スマートフォンでも音声録音機能の利用が可能な場合が多くあります。
まとめ
リベンジポルノは、親密な関係だからこそ許した2人だけの思い出を裏切る卑劣な行為です。
被害にあった際、裏切られた気持ちの悔しさや恥ずかしさなどで、誰にも話せず苦しむ方もいるでしょう。しかし、リベンジポルノなどの被害は、特に早急に対処しないと、拡散や二次被害の可能性が高くなります。
一部、相談窓口のなかには、画像や写真の削除を請け負う民間企業もあります。ただし、原則としてそのような行為は弁護士または被害者本人にしかできないため、違法行為に該当している可能性もあります。
もしも、相談窓口で悩んでいる場合は、民間企業ではなく今回ご紹介した警察、セーファーインターネット協会、弁護士に相談することをおすすめします。
この記事がリベンジポルノ被害に悩まれている方にとって、解決のヒントとなれば幸いです。