デジタルタトゥーとは?消し方やリスクを弁護士が解説【実例付き】
「デジタルタトゥー」という言葉を聞いたのですが、具体的にどういう問題なのでしょうか?
何年も前の発言が炎上しているケースも目にしますが、どういう対策があるのでしょうか?
誹謗中傷等に悩む企業や個人から3000件以上の相談を受け、迅速に解決してきた法律事務所「弁護士法人ATB」が、このような疑問にお答えします。
最後までお読み頂ければ、「デジタルタトゥーの意味、被害者側と発信者側のリスク、消し方などの対処法」などが分かります。
デジタルタトゥーとは?
インターネット上にアップされた情報(文章・写真・動画など)は、半永久的にインターネット上に残され、完全に削除することが難しいことを指します。
一度入れると消すのが難しい、「タトゥー」に例えた表現です。
デジタルタトゥーの5つの典型例とリスク
ネット上に様々な情報が残り続けることで、婚約破棄されたり、停学・退学になったり、就職に影響が出たり、仕事に影響が出るといったリスクが考えられます。
そこで、5つの典型例と、それぞれのリスクを解説します。
①個人情報
自分がX (旧Twitter)などに公開した個人情報(氏名、生年月日、居住地、学歴、職歴、顔写真など)を削除しても、スクリーンショットを撮られたり、匿名掲示板に転載されたりして、ネット上に残り続けることがあります。
また、自分はネットに公開していない個人情報を勝手に公開され、それが残り続けることもあります。
その結果、ストーカー被害に遭うなどのリスクがあります。
②逮捕歴や前科
逮捕されたり有罪判決が出た際に、実名が報道されることは少なくありません。
それを多くの人が拡散したり書き込んだりして、ネット上に残り続けます。
もし結婚を考えている相手や企業の採用担当者が名前で検索して、逮捕歴や前科が出てくれば、悪影響が出るリスクがあります。
③誹謗中傷
まず誹謗中傷を受けた人は、自分に対する誹謗中傷がネット上に残り続けることになります。
その中には、事実無根のこともあれば、真実であっても知られたくないこともあるでしょう。
一方誹謗中傷した人も、「そういうことをした」という事実がネット上に残り続けます。
自分の投稿を消したとしても、スクショを撮られたりして、ネット上から完全に消すことは難しいです。特に、実名アカウントで誹謗中傷したり、実名が特定されてしまったような場合は影響が大きいです。
誹謗中傷を受けた人も、した人も、ネット上に残り続けることで、結婚・就職・仕事などに悪影響が出るリスクがあります。
さらに誹謗中傷した人は、それ自体について、名誉毀損などの法的責任を問われることもあります。
④悪ふざけ・いたずら
「バイトテロ」と呼ばれる行為、飲食店や商業施設での迷惑行為、立入禁止区域への侵入などをネット上にアップする人が後を絶ちません。「バカッター」と呼ばれ、話題にもなりました。
友達しか見ていないと思ってアップしたり、友達や同僚が撮影してアップしたところ、瞬く間に拡散され、実名・住所・学校・勤務先などが特定されるケースもあります。
それによって解雇されたり損害賠償請求を受けるだけでなく、ネット上に残り続けることで、その後の結婚・就職・仕事などに悪影響が出るリスクがあります。
⑤リベンジポルノ
元恋人や元配偶者への嫌がらせや腹いせのために、性的な画像や動画をネット上に公開する「リベンジポルノ」が問題になっています。
そういった行為は、いわゆる「リベンジポルノ防止法」によって処罰の対象となります。
ただ、たとえ公開した人が処罰されても、一旦公開された画像や動画が残り続けることがあります。
個人情報と紐付けられることで、ストーカーや嫌がらせといった被害に発展したり、結婚などに悪影響が出るリスクがあります。
発信者のリスクが顕在化した事件
デジタルタトゥーは、個人情報や性的な画像を公開されたり、誹謗中傷を受けた被害者に対して、大きな悪影響を与えかねません。
また、発信する側にも大きなリスクがあることも、覚えておいてください。
ここでは、発信者のリスクが顕在化した実例をご紹介します。
①小山田圭吾氏・いとこの発言
東京五輪・パラリンピック開会式の楽曲担当を辞任した、ミュージシャン・小山田圭吾氏の件は大きな問題になりました。
小山田氏は、90年代の音楽雑誌のインタビューで、同級生に対して凄惨ないじめを行っていたことを告白しました。
これまでも何度かネットで炎上していたようですが、今回は大きな問題となりました。
元々は雑誌での発言でしたが、その雑誌を撮影した写真がネット上に残り続け、今回広く拡散したという意味では、デジタルタトゥーの一種と言えます。
さらに小山田氏の辞任が発表された際、小山田氏のいとこがツイートした内容が炎上。
当該ツイートとアカウントを削除したものの、ツイートのスクショを撮られており、ネット上で拡散されました。
こちらは、デジタルタトゥーの典型的なケースと言えるでしょう。
②小林賢太郎氏の発言
こちらも大きな問題になりましたが、東京五輪開閉会式のショーディレクター・小林賢太郎氏が、過去のコント内での発言が原因で解任されました。
これは1998年に発売されたビデオソフトに収録されたコントのようなので、元々はネット上での発信ではありません。
しかし、その動画がネット上に残り続け、今回広く拡散したという意味では、デジタルタトゥーの一種と言えます。
③一般人の実例
デジタルタトゥーは、決して有名人だけの問題ではありません。
例えば大手コンビニチェーン店のアルバイトスタッフが、「購入金額700円ごとに引けるくじ」を盗んで景品を私物化したツイートをしたところ、実名や勤務している店舗が特定され、大学から無期限の停学処分を受けた実例もありました。
もちろんその行為は許されるものではないですが、名前を検索すれば今でも多くの情報が表示されるため、デジタルタトゥーの恐ろしさも痛感します。
また、2016年に、コンビニのおでんを手でつつく動画が大炎上し、匿名掲示板で特定され、最終的には逮捕された事件もありました。
不起訴処分になりましたが、ネット上には今も動画や個人情報が残っているようです。
ご本人が、ニュース番組に出演し、当時の状況を振り返っています。
ネット上では、他人の失言や失敗などを記録し、拡散させる人がいます。
ここまで大きな問題にならなくても、発信には十分気を付けましょう。
デジタルタトゥー対策
個人情報や性的な画像を公開されたり、誹謗中傷を受けた被害者の場合
自分では気を付けていても、事実無根の誹謗中傷に遭ったり、個人情報を晒されることもあります。
そういう場合は、発見次第、一日でも早く削除する必要があります。
削除する方法としては、2つあります。
①SNS・ブログ・掲示板などの管理者(管理会社)に対して、本人または代理人弁護士から削除を求める方法
②裁判所に削除の仮処分の申立を行い、投稿・レス・スレッドなどを削除せよという決定を出してもらう方法
それほど拡散されていない段階なら、被害を最小限に食い止められる可能性もあります。
また、発信者情報開示請求という手続きを使って、投稿者を特定し、損害賠償請求することも検討しましょう。
さらには、発信者を名誉毀損罪・侮辱罪・脅迫罪・業務妨害罪・リベンジポルノ防止法違反などで罰してもらうため、被害届の提出や告訴も検討しましょう。
発信者の場合
まず普段から、「ネット上の発信は、全世界に向かってしているものだ」という意識を持ちましょう。
たとえフォロワーが数十人で、普段はほとんどシェアされないようなアカウントでも、瞬く間に炎上します。
そして、炎上してから自分の投稿を削除したところで、既にスクショを取られている可能性は高いです。
また、拡散したものに対して一つ一つ削除手続きを行っても、拡散するスピードに追いつけないことが通常です。
アカウントを削除したことで余計に炎上する事例もありますので、対策に正解はありませんが、慎重な対応が求められます。
お困りの方は、当弁護士法人へご相談下さい
一日も早く書き込みを削除する必要があり、そのためには一日でも早く弁護士に相談することがオススメです。
当弁護士法人は、削除の重要性を考え、土日を含めできる限り迅速な対応を心がけております。
もちろん、書き込んだ人の特定から損害賠償請求、警察への被害届の提出・告訴も全てお任せ下さい。
初回の相談は無料ですので(書き込み者は除く)、下記からお申し込み下さい。
公式LINEから相談内容を入力して頂ければ、自動で費用の見積もりが表示されます(そのまま無料相談の申込も可能です)。
まとめ
デジタルタトゥーの意味や典型例、実際に問題となった事例などをご紹介しました。
対策もご紹介しましたので、参考にしてください。