「Amazonレビュー」悪評・中傷コメントの削除手順と注意点
Amazonで不適切なカスタマーレビューが削除されるのはどういう場合か
Amazonでは、購入者が「カスタマーレビュー」を投稿できるようになっています。ただ、このカスタマーレビューは、好意的なものばかりではありません。
Amazonではカスタマーレビューについてどのように考え、またどのように運営しているのでしょうか。
不適切なカスタマーレビューを書かれてしまったり、また逆に利用客が誤解に基づいた正しくないカスタマーレビューを書いてしまったりした場合はどうすればよいのでしょうか。
どのような対応がとれるのかみていきましょう。
Amazonレビューガイドラインとは
Amazonでは、販売している商品に対してカスタマーレビューを書けるようになっていて、一般的には「クチコミ」とも呼ばれています。
Amazonレビューのガイドラインは以下のようになっています。
「販売促進や宣伝を目的としたものでなければ、良い評価も悪い評価も寄せてよい」
「商品の著作者やその関わりのある人が寄せたレビューの投稿は認められない」
「誹謗中傷や虚偽の記載の禁止」
「プライバシーを侵害する内容は禁止」
などのように細かい規約がありますが、この「カスタマーレビュー」は、商品の購入に迷う人にとって非常に有意義なものとなり得ます(規定は以下)。
• 誹謗、中傷、いやがらせ、脅迫、扇動、卑猥、わいせつ、またはみだらな内容投稿は禁止です。たとえば、卑猥またはみだら言葉を使うこと、人種、民族、国籍、性別や性同一性、宗教、性的指向、年齢、または障害に対する憎悪や偏見を表現することは禁止です。なお、このような憎悪や偏見を持つ組織に賛同する内容も含みます。
• 他のお客様のプライバシーを侵害する投稿は禁止です。たとえば、他人の電話番号、Eメールアドレス、および住所などの個人情報の投稿は禁止です。また、フィッシングやウィルスなど悪意あるサイトへのリンクも投稿できません。
• 他人や組織など、本人以外の人やものに成りすますことは禁止です。
• 他のお客様に向けて投稿や「参考になった」の投票催促を繰り返し送ることは禁止です。
• 他のお客様の投稿をかき消す行為は禁止です。複数のアカウントや複数の人と協業して、似た内容を複数回投稿することも含まれます。
• 他人の悪口や攻撃へ関与することは禁止です。
• 商品に関連した内容で敬意や威嚇的でない表現である限り、他のお客様の考えや知識に疑問を呈することが可能です。
なお、「悪い評価」のなかで、ここに記載した禁則事項(誹謗中傷など)にあたると判断された場合は削除されることがあります。言い換えれば、ごく一般的な感想や妥当とされる評価ならば、削除はされないということです。
コミュニティの公平性を保つため、宣伝、販売促進、および勧誘(直接、間接を問わず)を含む、以下のような投稿や行為は禁止です。
• ご自身(または親戚、親しい友人、仕事関係者や従業員)の商品やサービスについて、投稿する。
• 自身の競合他社の商品やサービスについて投稿する。
• 対価(無料または割引商品を含む)と引き換えるため、または他の人に代わって投稿する。
• 対価(無料または割引商品)と引き換えることを条件に投稿を依頼する、または投稿することを条件に、対価(無料または割引商品)を受け取ることを要求する。
• 宣伝や勧誘を投稿する。(紹介者のタグやアフィリエイトコードを含んだURLを含む)
引用:Amazon「ヘルプ&カスタマーサービス コミュニティガイドライン」
レビューの削除
レビューの削除は、大きく分けて3通りに分けられます。
①自分で書いたレビューを自分で削除する場合
②Amazon側から勝手に削除された場合
③「他人によって商品について書かれたレビューを削除する場合
①の方のやり方は実に簡単です。Amazonの「投稿したカスタマーレビューを見る」にアクセスをして、そこから「レビュ-の削除」ボタンをクリックすれば簡単に削除できます。また、商品のページに飛び、そこから自分のレビューを選んで削除することもできます。
②について見ていきましょう。
上でも述べた通り、Amazonでは「不適切なカスタマーレビュー」などを書いているとAmazon側から判断された場合、一方的にを削除されることがあります。さらに「カスタマーとして不適切な内容を書いたつもりがないのに、勝手に削除された」というケースも見られます。
この場合、カスタマー側ができるもっとも良い方法は、「Amazon側にメールなどをして、復活を要請する」というものです。それ以降のやりとりはAmazonとカスタマー側の個別の話となってきますが、「不当な削除だった」と感じる場合は、一度問い合せをしてみるとよいでしょう。
③は、もっとも問題となりやすいケースです。
「自分が出品している商品に、根拠のない低評価をつけられた」
「差別的な書き込みが行われ、迷惑している」
「正当な評価ではなく、言いがかりのようなことを言われている」
というものです。
この解決策については、次の項目でお話ししていきます。
削除依頼の方法
正当な評価であるのならば悪い評価でも受け入れるべきですが、
「言いがかりである」
「きちんと対応していたのに、荒唐無稽なカスタマーレビューを書かれた」
「著しい悪評を書きたてられており、非常に迷惑している」
「差別的な書き込みが行われている」
「プライバシーを侵害したり、出品者に対しての人格攻撃までをも含んだりしている投稿が行われている」
という場合は、何らかの対応をしなければなりません。
この場合、「書き込んだのは自分ではない(=自分では削除できない)」ということもあり、Amazon側の対応や発信者情報開示請求によるカスタマーレビュー執筆者特定に任せるしかありません(商品レビューを巡る裁判による情報開示請求は以下の例を参照)。
例:アマゾンに開示命令 中傷書評の投稿者情報巡り東京地裁(日本経済新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG10H04_R10C16A4CC0000/ |
Amazonレビューから「違反を報告」する
まず先に行ってほしいのが、Amazonの提供しているサービスである「違反を報告する」を使うことです。
手順は以下の通りです。
1. カスタマーレビューのページを見ると、各投稿の末尾に「役に立った」「コメント」「違反を報告」のボタンがあることが確認できます。
2.「違反を報告」を選ぶ
これでAmazonに報告ができます。
なお、このボタンがない場合は、Amazonにメールで連絡をすることになります。この場合は、
- どこのページに記載されているか
- 商品名
- どのような点で違反しているか
を書き記して送ります。
ただ、「これを行えば、確実にカスタマーレビューを消せる」とまでは言えません。もし報告1つでそのカスタマーレビューが消えてしまうのだとしたら、それこそ「正当な悪い評価」も消せてしまうからです。このため、たとえ出品者側が削除依頼をAmazon側に申し立ててもカスタマーレビューが削除されないこともあります。加えて、削除された相手が「削除は不当である」とさらにAmazon側に申し立てた場合、削除されたカスタマーレビューが復活することもあります。
しかし、出品者側の主張が正当なものであると認められた場合は、そのカスタマーレビューは削除されますし、また訴え返されても出品者側に理があると判断された場合は削除されたままとなります。
この方法がもっとも簡単なやり方です。削除されるかどうかはAmazon側の判断によりますが、まずはここから取り組みましょう。
裁判所による削除依頼
上記でも述べたように、Amazon側に「カスタマーレビューの違反の報告」をすることは非常に簡単な方法ではありますが、同時に「必ず消されるとは限らない」「一度削除されても復活する可能性がある」という問題点を含みます。
「訴えても改善されない」
「どうしても削除してもらいたい」
「あちらの言っていることは、客観的に見て正当性がない」
と考えられる場合は、法的な措置をとることも検討すべきでしょう。
ここまで考えているのであれば、弁護士の力を借りることをおすすめします。
Amazon側に弁護士から削除請求をしてもらいます。半月~2か月程度で、これに対する返答がきます。
それでもなお削除してもらえなかった場合は、裁判にいたることになります。なお、Amazon側が「弁護郵送による削除要請」に応じなかったということは、「削除するべきかの判断がつかないケースである」と認識すべきです。そのため、最初の段階で自力で郵送で削除請求をした人であっても、この段階では弁護士を入れることが必須となると考えてください。
裁判によって、「そのカスタマーレビューは削除すべきものである」とされれば、カスタマーレビューは削除されます。
なお、「裁判」というと非常に時間がかかるもののように感じられますが、このような裁判は「仮処分手続き」というスピーディーな裁判となります。このため、所要期間は長くても2か月程度だと考えられます。
投稿者特定の方法は?
「何度も悪質な投稿がされるから、投稿者を特定したい」
「削除をしてもらっても、繰り返し悪質な内容のカスタマーレビューが書き込まれる」
という場合は、「根元」を絶つことが求められます。つまり、投稿者を特定するのです。
投稿者の特定には、Amazon側に「カスタマーレビューを書いている人間の情報を開示せよ」と求めることが必要となります。しかし当然、相手側にもプライバシーはあります。Amazonの仕組みでは、出品者が軽々に相手(投稿者)に連絡をとることはできないようになっています。
Amazonn側が対応を行わない場合は裁判を行うことになり、弁護士の力を借りるとてっとり早いです。
手順は2通りあります。
1つは、発信者情報開示請求という方法を使って、投稿者の氏名・住所などを特定する方法です。
詳しくは下記記事をご覧ください。
2つめは、Amazon側に対してレビュー投稿を行ったアカウントの氏名や住所などの情報を出すように求める方法です。
2つめの方法は1つめに比べて信頼度は落ちるという欠点があります。アカウント登録時に偽名や偽の住所を記していた場合、Amazon側が開示できるのはその「偽の情報」でしかないからです。もっとも、Amazonは「通販を行う」という業務形態上、偽名や偽の住所を入れて使っている可能性は本来は高くないとおもわれますが、中には偽名で登録している人もいますのでその点は注意が必要です。
なお、Amazonは海外法人ではありますが、「日本法人が運営している」ということで、前に紹介したように2016年には実際に開示請求が通ったという判決がありました。
なお、「レビューだけを消すことができればよい」と考えている出品者の場合、「『購入者に連絡する』のフォームを使えば、相手に働きかけることができるのではないか?」と考えることもあるかもしれません。たしかにこれを使えば、購入者に連絡をとること自体は可能です。
しかしAmazonでは、
「カスタマレビューを操作することを禁止」「出品者自身についての評価を操作することは一切禁止」
引用:Amazon「出品者の禁止活動および行為、ならびに順守事項
としています。
つまり、「あなたの書いたカスタマーレビューが気に食わなかったから直せ」「この評価は不当であるから評価を取り消せ」と要求したり、「評価を取り消してくれたら、商品代金をお返しする」などと持ち掛けりすることは全面的に禁止されています。なかにはこのようなことを推奨しているサイトなどもありますが、危険なので絶対にやめましょう。
まとめ
「カスタマーレビュー」が大きな力を持つようになった今、事実無根の悪い評価を着けられることは出品者にとって死活問題です。しかし正しい手続きをとればこれは削除できます。削除の手順を覚えておきましょう。