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投稿削除や開示請求に使える「仮処分」の意味や流れを弁護士が解説

ネット問題

更新日:2024/01/14

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「仮処分」という手続きがあると聞きましたが、どのようなものか分かりません。

法律には詳しくないので、分かりやすく教えてもらえますか?

誹謗中傷等に悩む企業や個人から3000件以上の相談を受け、迅速に解決してきた法律事務所「弁護士法人ATB」が、このような疑問にお答えします。

最後までお読み頂ければ、「仮処分の意味や流れ」などが分かります。

仮処分とは?

仮処分とは、「裁判で決着が付くまで、仮の状態を作りましょう」というものです。

個人や会社との間でトラブルが起こった場合、最終的には裁判で決着を付けます。

ところが裁判は、1,2年掛かることも普通で、もっと掛かることも珍しくありません。

その間に、取り返しのつかない被害を受ける場合もあります。

それだと裁判の意味がなくなるので、「仮の状態」を作るわけです。

仮処分が出た後は、通常の裁判を起こし、腰を据えて闘うことができます。

ですから仮処分は、通常の裁判よりもスピーディーに結論が出るのが特徴です。

ただあくまでも「仮」の処分なので、その後の裁判で結論が逆転することもあります。

ネット関係で多い仮処分とは?

①侵害情報削除の仮処分

例えば、匿名掲示板やSNSに誹謗中傷や個人情報を書き込まれたとします。

そこで「投稿を削除せよ」という裁判を起こして、数年掛かって勝訴したとします。

しかし、その間投稿が残ったままだと、大きな被害を受けかねません。

そこで、「仮の状態として一旦削除せよ」という決定を出してもらうのが、この仮処分です。

②発信者情報開示の仮処分

SNSや匿名掲示板の投稿者を特定する方法として、

・SNSや掲示板の運営者等に対してIPアドレスの開示を求める

・IPアドレスから経由プロバイダを特定して、経由プロバイダに対して住所や氏名の開示を求める

という二段階の請求をする方法があります。

ただ運営者等に裁判を起こしている間に、経由プロバイダのログが削除されてしまうと、発信者の特定ができません。

そこで、スピーディーにIPアドレスの開示を求めるのが、この仮処分です。

なお、経由プロバイダに対する開示請求は、後ほどご説明する「保全の必要性」が無いということで、仮処分は認められないことが多いです。ですから、通常の訴訟で開示を求めることが多いです。

なお、発信者情報開示請求の手続きは、2022年10月の法改正で「提供命令」も創設されました。

③発信者情報の消去禁止の仮処分

経由プロバイダに対する裁判に勝訴しても、裁判をしている間にログが削除されてしまうと、発信者の氏名や住所を開示してもらえません。

そこで、経由プロバイダに対し、ログを削除しないように求めるのが、この仮処分です。

仮処分の流れ

①裁判所へ申し立て

管轄裁判所に対し、申し立てに必要な書類を提出します。

申し立てが認められるためには、①保全すべき権利と②保全の必要性を疎明しなければなりません(民事保全法13条)。

「疎明」というのは、証明までは求められないものの、裁判官に「一応確からしい」と思ってもらうことです。

証明まで求めると時間が掛かるため、仮処分では疎明で良いことになっています。

「保全すべき権利」というのは、単に「不愉快」といったことでは不十分で、例えば次のものです。

・誹謗中傷に関する投稿の削除を求めるなら、名誉権

・個人情報に関する投稿の削除を求めるなら、プライバシー権

・発信者情報の開示を求めるなら、プロバイダ責任制限法 4条に基づく発信者情報開示請求権

こういった権利が、どのように侵害されたと言えるのか、疎明する必要があります。

「保全の必要性」というのは、例えば「誹謗中傷に関する投稿が残ったままだと、回復できない損害を被る。だから、削除する緊急性がある」といったものです。

これについても、抽象論や可能性を並べるのではなく、きちんと疎明する必要があります。

②審尋

原則として、債権者(申し立てる人)と債務者(申し立てられる人)双方について、「審尋」というものが行われます。

これは、よくテレビ等で見る公開の裁判ではなく、非公開の場で、裁判官が当事者から事情を聞いたり証拠を検討する手続きです。

③立担保

債権者の主張が認められると、裁判所が金額を指定する「担保金」を法務局へ供託します。

担保金は、債務者が損害を受けた時に備える保険のようなものです。

債務者が損害を受けるようなことがなければ、後日取り戻すことができます。

④仮処分決定

供託が終わると、裁判所から仮処分決定が出されます。

そして、投稿の削除や発信者情報の開示等、決定の内容を実行するよう、債務者に求めます。

債務者が決定に従わない場合は、間接強制といって、決定に従うまで1日いくらの制裁金を支払え、という心理的なプレッシャーを与える強制執行も可能です。

仮処分決定が出るまでの期間

期間は、申し立てる内容によって異なります。

なお、投稿者を特定するためには、投稿からだいたい2~3ヶ月を目処にIPアドレスが開示される必要があります。

IPアドレス開示にも一定の期間が必要なので、投稿を発見したら、できるだけ早く動くようにして下さい。

弁護士費用は?

当弁護士法人の費用は、こちらに掲載しております。

一日も早く弁護士に依頼するのがオススメです

仮処分は専門性が求められる手続きであると同時に、時間との戦いのため、弁護士に依頼しないと難しいのが実情です。

当弁護士法人では、投稿者の特定から損害賠償請求、投稿の削除、警察への被害届の提出・告訴も対応可能です。

特に当事務所では、IPアドレスの開示まで1週間位で行うことができます。

初回無料の法律相談を受けておりますので、手遅れになる前にご相談下さい。

土日を含めできる限り迅速な対応を心がけております。

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まとめ

誹謗中傷の投稿削除や投稿者特定などで使われることが多い「仮処分」について、その意味や流れを弁護士が解説しました。

誹謗中傷弁護士・藤吉監修のブログ

この記事の監修者

弁護士法人ATB

これまで、インターネット匿名掲示板等での『誹謗中傷』に悩む企業や人の相談を 3000 件以上受け、迅速に解決してきた弁護士事務所です。 「5ちゃんねる(2ちゃんねる)」「爆サイ」「ホスラブ」「X (旧Twitter)」など、数10種類以上のWebサイト、SNS、掲示板の投稿への削除依頼、発信者情報開示請求(投稿者の特定)等に、プロフェッショナルとして幅広く柔軟に対応しています。