誹謗中傷対策マニュアル
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公開日:2018.06.01 最終更新日:2021.09.28

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ネット上で名誉毀損をすると!?罰則や慰謝料について弁護士が解説

SNS・ブログ・掲示板などで悪口を書かれた場合など、どこから名誉毀損に当たるのでしょうか?

また、名誉毀損した人はどんな責任を負うのでしょうか?

 

誹謗中傷等に悩む企業や個人から1500件以上の相談を受け、迅速に解決してきた法律事務所「弁護士法人ATB」が、このような疑問にお答えします。

最後までお読み頂ければ、「名誉毀損とは何か?」「名誉毀損するとどうなるのか?」が分かります。

結論から言うと、名誉毀損を行うと懲役などの刑事罰を受ける可能性と民事上慰謝料などの損害賠償請求をされる可能性があります。

単なる悪口とはどう違うのか等について、事例を挙げながらわかりやすく解説します。

名誉毀損された場合の対処方法も解説しますので、参考にして下さい。

名誉毀損とは?

厳密に言うと「民事上の名誉毀損」と「刑事上の名誉毀損」は要件が違うのですが、大まかに言うと、個人や会社の社会的評価を低下させる行為です。

社会的評価を低下させたかどうかの基準について、最高裁判所は、「一般の読者の普通の注意と読み方とを基準として判断すべき」と言っています(最高裁平成9年9月9日判決)。

簡単に言うと、「普通に考えて、それを読んだら評価が下がるよね」という場合です。

本人は「ちょっと悪口を言っただけ」のつもりでも、それが名誉毀損に当たることは十分あり得えます。

名誉毀損に当たり得る投稿例

・あいつは、違法薬物をやっている

・あの会社は、あの事件の犯人の勤務先だ

・あいつは、先日起こった事件の共犯者だ

・あそこの店は、賞味期限切れの食材を使っている

名誉毀損した人が負う責任とは?

名誉毀損を行うと、刑事と民事の責任を負うことがあります。

刑事責任

名誉毀損罪(刑法230条)が成立すれば、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金が科されます。

簡単に言うと、ネット上で(=公然と)、事実を書いて(=事実を摘示し)、個人・会社などの評価を下げたら(=人の名誉を毀損したら)、成立する犯罪です。

事実を摘示するというのは、それが実際にあったかどうか、証拠によって白黒付けられることを書くということです。

そしてその事実は、真実かどうかは関係ありません。「本当のことなら書いて良い」というのは間違いです。

実際にあった事例

「あおり運転」を受けた夫婦が死亡した事件に関し、インターネット上の掲示板にデマ情報を流し、ある会社の名誉を傷付けたとして有罪判決を受けた事例などがあります。

告訴期間と時効に注意

名誉毀損罪は、被害者などから告訴がないと罰することができない「親告罪」です。

告訴は、「犯人を知った日」から6ヶ月以内にしなければなりません。

ただし、名誉毀損の書き込みが残存していれば消えない限りは大丈夫です。

また、公訴時効は3年です。犯罪終了(書き込みがネットから消えること)から3年が経過すると起訴できなくなり、罰することができなくなります。

名誉毀損の被害に遭ったら、できるだけ早く警察や弁護士に相談して下さい。

民事責任

不法行為に当たれば、慰謝料や経済的損害を賠償する義務を負います(民法709条,710条)

不法行為に当たる場合とは、ネット上で、事実・意見・論評を書いて個人・法人の社会的評価を下げた場合や、名誉感情(プライド・自尊心)を傷付けた場合です。

また、名誉回復措置を行う義務(新聞や雑誌への謝罪広告掲載など)(民法723条)を負う場合もあります。

刑事と民事の要件の違い

ここでは、大きな違いを2つ挙げておきます。

①名誉毀損罪は事実を摘示した場合だけ成立しますが、民事責任は、意見や論評によって社会的評価を下げた場合も成立し得ます。

もちろん、作品や味などの良し悪しは人それぞれで、「マズい」「つまらない」「ダサい」といったネガティブな意見や感想を抱く人がいることは、一般読者も理解しています。

ですから、その程度のことを書いただけでは、社会的評価は下がりません。

しかし、例えば料理評論家が「あのシェフは素人以下」と書いたりすれば、意見や感想を書いただけでも、社会的評価を下げたとして、民事上の損害賠償責任が発生し得ます。

また、事実を書いた上で意見や感想を書いた場合、社会的評価を下げれば名誉毀損に当たり、損害賠償責任が発生する場合があります。

例えば、ある飲食店の料理を「マズい」と書くだけでなく、「腐った食材を使っているからマズい」と書くと、それは事実を書いたことになります。

この場合は、先ほど解説した名誉毀損罪にも当たり得ます。

さらに直接事実を書かなくても、ある事実があることを前提として意見や感想を書いた場合も、社会的評価を下げれば名誉毀損に当たり、損害賠償責任が発生する場合があります。

例えば、Aと言う人が愛人がいることを前提として、「クズ男」などと書いた場合です。

②民事上は、名誉感情も保護されます(刑事上は保護されません)。

名誉感情というのは、簡単に言うと自尊心やプライドです。

これが傷付けられた場合は、たとえ社会的評価を下げなくても名誉毀損に当たり得ます。

とは言え、相手が「傷付いた」と言えば何でも名誉毀損になるわけではなく、社会通念上許される限度を超えた侮辱行為に限られます。

名誉を毀損しても責任を負わない場合

事実を摘示した場合

(1)公共の利害に関する事実であること(公共性)

(2)その目的が専ら公益を図ることにあること(公益性)

(3)真実であると証明した場合(真実性)又は真実だと信じた正当な理由があったと証明した場合(相当性)

上記要件を全て満たせば、名誉毀損は成立しません。

典型例は、政治家の不正行為を暴く報道です。

ただ一般人がこの要件を満たすのは、かなり難しいです。

例えば「相当性」については、インフルエンサーが言っていたから信じた、大勢の人が言っていたから信じたというレベルでは足りません。

意見・論評の場合

(1)公共の利害に関する事実であること(公共性)

(2)その目的が専ら公益を図ることにあったこと(公益性)

(3)意見・論評の前提としている事実が、重要な部分について真実であると証明したこと(真実性)

(4)(3)の証明ができなくても、その事実を真実と信じる相当の理由があったと証明したこと(相当性)

(5)人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでないこと

名誉毀損された場合の対処方法

①刑事責任の追求

告訴状の提出を行います。

告訴する際、加害者の氏名や住所がわかっていれば良いですが、わからなくても告訴自体は可能です。

②民事責任の追求

弁護士を通じて直接損害賠償請求したり、裁判を起こしたりします。

民事の責任追及をするには、加害者の氏名や住所が必要です。

それらを知るには、発信者情報開示請求という方法を使います。

③投稿の削除

ネット上に投稿が残ったままだと、被害が拡大しかねません。

そこで掲示板などの運営者に対し、投稿の削除依頼を行います。

これは本人が行うことも、弁護士が代理して行うこともできます。

ただし、削除代行業者による削除依頼は、違法行為(非弁行為)と考えられますので、依頼しないように注意して下さい。

弁護士からの削除依頼に応じてもらえない場合、あるいは削除依頼を経ずに、裁判所に削除の仮処分の申立を行い、削除せよという決定を出してもらいます。

当然ながら、申し立てが必ず認められるわけではありませんが、申し立てが認められるよう、弁護士が必要な主張や証拠の提出などを行います。

誹謗中傷に遭ったら、一日も早く弁護士に依頼するのがオススメです

以上、名誉毀損についてご説明しましたが、名誉毀損罪に当たるか微妙だったり、侮辱罪や脅迫罪など他の犯罪に当たる場合もあります。

また、発信者情報開示請求などの手続きには、専門的な知識・経験が必要となります。

ですから、誹謗中傷に遭って困っている方は、まずは弁護士に相談して、どういう選択肢があるか見通しを立てるのがオススメです。

当弁護士法人では、投稿者の特定から損害賠償請求、投稿の削除、警察への被害届の提出・告訴も対応可能です。

初回無料の法律相談を受けておりますので、手遅れになる前にご相談下さい。

土日を含めできる限り迅速な対応を心がけております。

公式LINEから相談内容を入力して頂ければ、自動で費用の見積もりが表示されます(そのまま無料相談の申込も可能です)。

まとめ

名誉毀損の意味、どういう罪に当たるのか、単なる悪口とはどう違うのか、名誉毀損された場合の対処方法等について、事例を挙げながらわかりやすく解説しました。