誹謗中傷対策マニュアル
MANUAL
公開日:2019.06.11 最終更新日:2019.10.16
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Googleマップの悪口口コミを削除したい!法的に可能なの?削除以外の対処法も解説!
- 「Googleマップのクチコミを見たら、誹謗中傷が書かれていた…。」
- 「アンケートで『Googleマップの口コミに悪口が書かれていたので、ドキドキしながら来ましたが、全くそうではありませんでした。』とあったので、Googleマップを見たら、ありもないことを書かれていた」
と、Googleマップに書かれたネガティブな投稿の削除をしたいと思っている人も多いかと思います。
今回は、Googleマップに悪口が書かれる理由や、削除する方法、削除とまではいかなくても被害を最小限に食い止める方法を紹介していきます。
「Googleマップの口コミを削除して欲しい」「Googleマップの口コミを、どう対処しようか迷っている」というお店のオーナーにぜひとも読んでもらいたい記事です。
Googleマップに誹謗中傷を書かれていると○○が落ちる!
Googleマップに誹謗中傷が書かれていると、Googleマップで近くにあるお店を調べている人が、「このお店は評判が悪いから、行くのをやめよう」となってしまい、売り上げが落ちる原因となります。
また事業主のメンタルも普通であればやられるので、そういった点での影響も考えられます。
事実で非難された場合、それは正当な批判となりますが、事実でないことで非難された場合、誹謗中傷になるので、対処法があります。
Googleマップの口コミに誹謗中傷が書かれている原因とは?
お客さんが事実を書き込んでいる
- 飲食店で、お店が忙しいときに、30分お客さんをオーダーから待たせてしまい、「忙しいのか、なかなか料理が出来上がらない」と書き込まれる。
- 整体施設で、お客さんが予約したのにも関わらず、その時間に別のお客さんの予約を入れてしまい、元から予約していたお客さんに「予約しましたが、別のお客さんの予約が入っているとのことで別日に回されました。」と書き込まれる。
- 美容院で、美容師がお客さんに「今回の料金は1万円になります」とカット前に説明したものの、実際に会計で請求された金額は2万円で、「カット前に1万円と説明されましたが、実際には2万円かかりました。」と書き込まれる。
など、お店の対応に不満を持ったお客さんが事実として不満を書き込むケースです。この場合、事実であるため、残念ながら削除できません。
ただし削除する以外の対策で、お店への被害を最小限に抑えることができます。
悪意のある書き込み
- レストランで、事実はないのに「○○は産地偽装をしています。」「○○の店員は客に水をかけてきます。」と書き込まれる。
- 整体施設で、事実ではないのに「○○では○○を使っていると言いますが、うそです」などと書き込まれる。
- 美容院で、事実ではないのに「○○で髪を切ったら、左右で10cm以上も違う長さにされました。」と書き込まれる。
ライバル店やお客さん、または第三者がウソの悪意がある書き込みをした場合、削除できます。
Googleマップの誹謗中傷を削除するには?
Googleに報告する
まず、Googleマップを開きます。
次に自分のビジネスリスティングを見つけます。
クチコミを表示し、問題のあるコメントを灰色の丸が縦に並んだボタンをクリックorタップします。
すると「ポリシー違反を報告」という画面に移るので、メールアドレスと違反の種類を選び、送信しましょう。
これで完了です。ただし文章での報告はできないので、仮に3ヶ月間放置されてもGoogle側に問い合わせることはできません。
Googleでは、Googleマップの投稿コンテンツのポリシー(つまり削除基準)をこのようにしています。(要約)
禁止および制限されているコンテンツ
- スパムや、嘘のコンテンツ
- その場所に関連性のないコンテンツ
含めてはいけないコンテンツ
- 規制されている商品やサービスを購入できるランディングページへのリンク
違法なコンテンツ
- 著作権を含む他者の法的権利を侵害する画像または他のすべてのコンテンツ
- 性的虐待のあらゆる画像、および児童を性的に表現したあらゆるコンテンツ
- 危険行為や違法行為(レイプ、臓器売買、人身売買など)を描写したコンテンツ
- 違法な商品やサービス(絶滅が危惧されている動物の商品、違法薬物、非合法な市場に転売されている処方薬)
- 露骨な暴力や不当な暴力を描写した画像、または暴力を助長する画像
- テロリスト グループによって制作された、またはテロリスト グループのために制作されたコンテンツ
- 露骨な性的コンテンツ
- わいせつ、冒涜的、不適切な言葉やジェスチャーを含むコンテンツ
- 自分や他者に危害を加えるか、危害を加えることを推奨しているコンテンツ
- 個人か、個人で構成されるグループを中傷、威嚇、攻撃するコンテンツ
- 差別的なコンテンツ
- なりすまし
- 自分のお店やサービスの口コミを投稿する
- 競合他社に関するコンテンツを投稿し、評価を操作する
これらの禁止事項も追加されています。
ですが、Googleでは根拠となる証拠がなければ取り合ってもらえません。該当ページのスクリーンショットを送るなどして、証拠を揃えてから望みましょう。
裁判所から削除請求をする場合・損害賠償請求をする場合は「発信者情報の開示」が必要!
Googleに削除申請をするだけなら要りませんが、裁判所からGoogleに削除請求をしたり、損害賠償請求をしたりするなら、「発信者情報の開示」が必要です。
発信者情報開示とは?
インターネットで誹謗中傷をした人物の名前と住所を特定するために、必要な情報の開示を請求する手続きです。これをすることにより、相手方の名前や住所が明らかになるので、手続きに必要な情報が得られます。
発信者情報開示は、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」によって認められているため、法律違反にはなりません。
発信者情報を開示するには?
- 弁護士がIPアドレスの開示を請求する
- 裁判所が、IPアドレスの開示を決定する
- IPアドレスの開示
- IPアドレスからインターネット業者を特定
- IPアドレスの開示請求訴訟の提起
- 裁判所が判決を出す
- 住所や氏名の開示
- 発信者の特定
※IPアドレスとは:IPでインターネットに接続されている機器を判別するための番号のことです。
発信者情報の開示をしたら、裁判所から削除請求を相手方にするか、損害賠償請求をするかのどちらか両方を選びます。
法律を使って削除する
Googleマップでの誹謗中傷は、刑法230条の「名誉毀損罪」や、刑法231条の「侮辱罪」に抵触する可能性があるので、上手く活用すれば削除してもらえます。
第230条
- 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
- 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
第231条
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する
削除してもらいたい場合、弁護士に協力してもらい、発信者情報の開示をしたあとに次のようなステップを踏みます。
1.削除請求の申し立て
ー被害者が、著作権を侵害しているコンテンツの削除を求めて仮処分命令を裁判所に申し立てることを言います。削除請求をする理由を書いた申立書と証拠を、裁判所に提出する必要があります。
Googleマップの投稿を削除して欲しい場合、該当ページのプリントなどが証拠として有効です。
2.審尋
ー利害関係者が、今回の案件に関する意見などを裁判所に提出することを言います。被害者はもちろんですが、相手方も意見を提出します。これにより、裁判所の中立性が確保されます。
3.立担保
ー削除申請の申し立てと審尋を経て、裁判所が被害者の申し立てが正当だと判断した場合、被害者は裁判所が決めた担保金を法務局に供託します。
仮処分が違法だったり、不当だったりした場合、相手方が受ける損害を担保するもので、手続きをすることで還付できます。
担保額はケースバイケースですが、5〜50万円程度であることが多いです。
4.仮処分命令の発令
ー供託金が供託されたら、裁判所からGoogleに対してネガティブな口コミの削除が仮処分発令されます。著作権違反の場合、これで削除されるケースが多く、申し立てからここまでで1〜2か月程度かかります。
5.執行
ー仮処分命令の発令がされても、クチコミが削除されない場合、執行の申し立てができます。これをすることで、相手方が削除するまで、裁判所が命じた金額を相手方に支払わせられます(民事保全法52条1項、民事執行法172条)。
弁護士に依頼するので手間と時間、費用はかかものの、確実性が高いのでおすすめです。
2015年に、関東の医療機関がGoogle側にGoogleマップの口コミを削除するように訴えた裁判で、千葉地裁はGoogleに口コミの削除を命じる判決を下しました。このように、法的違法性が認められれば、十分裁判で勝てる可能性があります。
ただし実際に削除されたかというと、その後は明らかになっていません。またGoogle側は当時取材に対して、「削除を検討する」と返していましたが、取材陣に対してこの対応では、実際に削除してもらえたかというと…。微妙なところです。
損害賠償請求をする
損害賠償請求をすると、相手方に対して損害額を支払ってもらうことができます。Googleマップに誹謗中傷を書かれ、その投稿を削除してもらいたい場合は、それによって発生した損害額や、精神的損害を請求できます。
やり方
発信者情報の開示をした後に、損害賠償請求をします。損害賠償請求には示談交渉と調停、民事訴訟の3つのやり方があります。示談交渉とは、話し合いのことです。相手と同意点を見出して解決を図ります。調停は、裁判所の調停委員会を間に挟み、相手との同意点を見出して解決を図る方法です。
民事訴訟とは、裁判所に損害賠償に関する判決を出してもらうことです。相手が拒否をしても、それに従わなければならないので、確実に物事を解決できます。
Googleマップの投稿を削除・損害賠償請求するのが難しい場合は…
費用や手間、内容などの問題でGoogleマップの投稿を削除するのが難しい場合、ネガティブな投稿による影響を最小限に抑えたいものです。
- ネガティブな投稿に対して返信をし、Googleマップでお店を検索している人に店側の真摯な対応を印象に残す
- 店内に「今後の運営の参考にしたいので、Googleマップへの投稿をお願いします!」と書いた貼り紙を出し、投稿を募り、ポジティブな口コミを増やす
などをして、ネガティブな口コミをお客さんや来店する予定の人に対して印象に残さないように心がけましょう。
司法の活用で削除or損害賠償に応じる可能性はあるものの、一番現実的なのはネガティブな口コミの影響を最小限にすること
Googleマップの口コミに誹謗中傷を書き込まれた場合、Googleに問い合わせるのが一番簡単ですが、Googleはあまり応じません。そこで裁判を起こし、仮処分命令を下すことで、より応じてくれる可能性か高まります。
また場合によっては損害賠償請求をするのも1つの手段です。ただしそれでもGoogleが応じる可能性は低いので、削除のために行動するとともに、ネガティブな口コミによる影響を最小限にする対処法を取っておきましょう。

弁護士法人ATB
これまで、インターネット匿名掲示板等での『誹謗中傷』に悩む企業や人の相談を 1500 件以上受け、迅速に解決してきた弁護士事務所です。
「5ちゃんねる(2ちゃんねる)」「爆サイ」「ホスラブ」「Twitter」など、数10種類以上のWebサイト、SNS、掲示板の投稿への削除依頼、発信者情報開示請求(投稿者の特定)等に、プロフェッショナルとして幅広く柔軟に対応しています。