誹謗中傷対策マニュアル
MANUAL

2019.09.02

ネット問題

無断転載したら逮捕される?逮捕・書類送検の実例と対処方法

この記事では、インターネット上での著作物の無断転載で問題となるケースや対処方法を解説します。

ネット上で公開した私の作品が無断転載されているんだけど……。逮捕とかしてもらえないんですか?
すべての著作物には「著作権」があるから、無断で使うと「著作権侵害」なるんだ。ここで、相手を逮捕や起訴をしてもらえるかどうかや、実際に逮捕・書類送検された事例、逮捕や削除依頼方法、使用料を請求するまでの手順を紹介しよう。

 

無断転載をしたら逮捕される?

全ての著作物には「著作権」が存在しているため、著作者に無断で使うと「著作権侵害」となります。

個人だと「10年以下の懲役」又は「1,000万円以下の罰金」かその両方、法人だと「3億円以下の罰金」が科せられます。

例えば雑誌記事を引用の範囲を超えて他社媒体などに掲載した場合、その記事転載行為がは「著作権侵害」だけでなく、「名誉毀損罪」にあたるとして訴えられることもあります。

例えば「“映画村”記事の類似事件」と呼ばれる裁判では、原告Aが執筆した雑誌記事に対し、被告となったB新聞社が掲載したWeb記事が非常に類似していて、著作権(翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権、名誉・声望権)を侵害され、また名誉を毀損されたとして東京地裁に訴えました。なお、東京地裁は原告Aの主張を否定し請求を棄却とする判決を下しました。判決を不服とする原告Aは控訴しましたが、二審の知財高裁も一審の東京地裁の判決を支持し、控訴を棄却となっています。

参考:「“映画村”記事の類似事件」関連の解説
東京国際映画祭事件(第一審)(日本弁理士会サイト)
https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2018/06/No.57_2016-3218.pdf

裁判の記録 2017年〔1月~6月〕(日本ユニ著作権センター)
http://jucc.sakura.ne.jp/trial/trial-2017-1.html

 

“映画村”記事の類似事件」裁判では、原告Aは自分の記事が無断転載されたことによって、「著作者人格権」を侵害している、と訴えていました。

この著作者人格権とは、

  • 作品が発表されるかどうかや、発表時期を決められる「公表権
  • クリエイターが作者を明らかにするか決められる「氏名表示権
  • 無断で作品を変更することを禁じる「同一性保持権
  • 著作物がクリエイターの名誉を毀損する方法で使用することを禁じる「名誉声望を害する方法での利用を禁止する権利

などから成り立っている権利です。

撮った写真が無断転載された上に、作者の意図と異なった解釈、あるいは写真を改変されコラージュとして利用された場合など、著作者人格権侵害となり、著作者人格権の面でも裁判を起こせます。

また、名誉毀損罪とは、刑法230条で規定されている犯罪のことで、人の名誉を傷つけたときに問われます。前述の「“映画村”記事の類似事件」裁判では、原告Aの主張として、原告Aの記事で示された論考を、B新聞社が複製・翻案した記事では著しく異なる意図で紹介しているとして、原告Aの名誉・声望権を侵害したとして訴えています。

無断転載をして逮捕された事例7つ

ここでは、無断転載をして、実際に逮捕された事例を7つ紹介していきます。意外と身近な事例で著作権や著作者人格権を侵害していたり、名誉毀損罪にあたっていたりすることがあるので、困りごとと似た事例がないかチェックしてみましょう。

事例1:「gooヘルスケア」の文章を自分のブログに163回も転載

2009年5月、自分のブログに「gooヘルスケア」の文章を163回も転載していた男性が逮捕されました。男性は2008年7月から2009年1月まで転載し続け、「gooヘルスケア」内の健康に関する記事に対して著作権を有している(株)法研に告訴され、罰金30万円を検察庁に支払いました。

参考:「gooヘルスケア」の健康関連記事を自分のブログに無断転載した男性を逮捕(CNET-Japn)
https://japan.cnet.com/article/20393931/

事例2:「週刊文春」の記事を発売前にネットにアップ

2013年10月、同年1月に発売された「週刊文春」の記事をケータイで撮影し、画像サイトにアップし、不特定多数の人が見られる状態にしていた男が、販売元の文藝春秋に告訴され逮捕されました。

参考:雑誌の「フラゲ投稿」で逮捕者 運送会社で雑誌の仕分けを担当(IT-media)
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1310/08/news099.html

事例3:宝塚歌劇公演の販売用DVDを権利者に無断で複製・販売し逮捕

人気歌劇「宝塚歌劇団」の販売用DVDを権利者に無断で複製の上、販売していた埼玉県さいたま市の会社員を、茨城県筑西署は2019年1月に著作権法違反(複製権侵害及びみなし侵害)の疑いで逮捕しました。

参考:別件の著作権法違反事件の捜査から発覚、女性を逮捕(ACCS)
http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2018/1222.php

事例4:著作者に無断で漫画を公開した「はるか夢の址」

「はるか夢の址」には、人気漫画が権利者に無断でサイト上にアップされていましたが、大阪、神奈川、埼玉、千葉、新潟、岡山、香川、愛媛、福岡の9府県が合同捜査本部を立ち上げて捜査し、2017年10月に9容疑者を逮捕。

さらに2018年4月には新たに3容疑者が逮捕され、2018年1月に初公判が行われました。

参考:日本最大級の出版海賊サイト「はるか夢の址」を通じたアップロード、9名逮捕(ACCS)
https://www2.accsjp.or.jp/criminal/2017/1205.php

事例5:「ワンピース」発売前の画像データをネットで公開

2017年12月、漫画「ワンピース」の販売前の画像をネットにアップし、著作権法違反の罪に問われていた男性に、秋田地裁が懲役1年6か月、執行猶予3年、罰金50万円を言い渡しました。

被告は2014年5月から複数の作品で画像を転載し、サイトに広告を掲載することで儲け、2017年7月までに3億円あまりの収入を得ていました。

事例6:人気漫画をWebサイト「漫画村」に違法アップロード

2016年に開設されたWebサイト「漫画村」は「登録不要で完全無料」を謳い文句に違法コピーされたマンガや雑誌などを無料公開し、膨大なアクセスを集めるようになった。2018年頃に社会問題化し、同年4月に日本政府がインターネット接続業者にアクセスブロッキングを要請するに至った。この頃から「漫画村」へのアクセスが不安定になり、同月17日に閉鎖された。同年5月に福岡県警が著作憲法法違反で捜査を開始し、2019年7月に元運営者がフィリピンで身柄拘束され、同じく国内でも運営に関わったとして男女2名が逮捕された。

参考:政府、「海賊版サイト」遮断へ 著作権保護に向け対策決定(産経新聞)
https://www.sankei.com/entertainments/news/180413/ent1804130014-n1.html

「漫画村」元運営者に逮捕状 被害額は約3200億円(アエラ)
https://dot.asahi.com/wa/2019071600102.html?page=1

「漫画村」37歳男を再逮捕 無断公開、運営関与疑い – 芸能社会 – SANSPO.COM(サンスポ)
https://www.sanspo.com/geino/news/20190902/tro19090212380002-n1.html

事例7:流山市紹介サイトに流山市公式サイトの文章をそのまま掲載

2012年4月、流山市公式サイトにある文章を、自身が運営する流山市の紹介サイトにそのまま掲載したとして、20代の男が千葉県警サイバー犯罪対策課と流山署に逮捕されました。男が運営する市の紹介サイトには、市職員を誹謗中傷する内容のコンテンツもあり、以前から、流山市役所は同署に相談していました。

参考:個人ブログに市のHPをコピペ 著作権法違反容疑で無職男を逮捕(旧msn sankei)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120416/crm12041623070021-n1.htm
(※サイト提携中止で上記記事は削除されています。)

無断転載で書類送検された事例

書類送検」とは、逃亡や証拠隠滅の可能性がないなどといった理由で、被疑者を逮捕する必要性がないと判断された事件や逮捕後釈放した後に被疑者の身柄を拘束せずに事件を、検察官送致(送検)する措置です。

検察官送致には、逮捕した場合の身柄付送致(身柄送検)と、被疑者を逮捕しない場合の在宅送致の2つがあり(刑事訴訟法第246条本文)、書類送検は在宅送致にあたります。

処罰が軽いかというとそうとは限りませんが、軽い処罰で済む事件が多いようです。

事例1:カラオケ用動画に無断で使用し、それをYouTubeにアップ

音楽配信会社の音源を使い、カラオケ用動画を著作者に無断で作成し、それをYouTubeにアップした都内会社員の男が書類送検された事件です。2018年9月に書類送検されました。男は2014年8月にチャンネルをYouTubeに登録し、合計800万円もの広告収入を上げていました。

参考:カラオケ音源、ネットで無断公開容疑 会社員を書類送検(朝日新聞デジタル記事 有料会員向け記事)
https://digital.asahi.com/articles/ASL9N4609L9NUTIL01G.html

ダウンロードしたカラオケ音源をユーチューブに無断投稿 会社員を書類送検 警視庁(産経新聞)
https://www.sankei.com/affairs/news/180921/afr1809210015-n1.html

事例2:テレビ番組をYouTubeに無断アップロード

2018年8月、名古屋市の男子高校生ら5人が民放の許可を得ずにYouTubeにバラエティ番組を公開し、著作権侵害をしたとして書類送検されました。広告収入をローン返済や生活費にあてていたそうで、容疑は全員認めています。

参考:名古屋の高校生ら5人、動画違法投稿疑い 埼玉県警が書類送検(産経新聞)
https://www.sankei.com/affairs/news/180802/afr1808020014-n1.html

事例3:「君の名は。」をネットに無断アップロード

2016年11月、同年夏に大ヒットした映画「君の名は。」を動画共有サイトに著作者に無断でアップしたとして、神奈川県藤沢市の無職の男性が書類送検されました。「君の名は。」以外にも、小田和正氏や中島みゆき氏のアルバムを公開していた疑いも持たれていました。

「君の名は。」不正配信で初摘発 ファイル共有ソフト「Share」悪用(ITmedia)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1611/04/news093.html

無断転載の中でも逮捕・書類送検されやすい事例

無断転載で逮捕・書類送検された事例を合計10件、見てきました。雑誌やマンガをネット上に無断転載した場合は逮捕に至るケースが多い傾向がうかがえます。書類送検は動画をアップロードしたときに多くなっています。

法律知識のあるクリエイターは、リサーチに時間をかけるなどして警察を活用するため、加害者が逮捕されるケースが多くなっています。

無断転載されたときの対処法

無断転載されたときの対処法としては、著作権侵害や名誉毀損など被害が大きい場合は速やかに「刑事告訴」を行うべきです。ただし、まずは穏便に話を進めたい等の場合は最初に次の「1」と「2」の対応が考えられます。この依頼について無視された場合には、次の段階として刑事告訴や損害賠償請求を行うことが考えられます。

1.相手に削除申請を出す。
2.相手に使用料を請求する。

刑事告訴(相手を逮捕してもらう)

1.被害届の提出or刑事告訴
 ※刑事告訴のほうが捜査の進行率が高いです。
2.警察による捜査
3.逮捕
4.勾留
5.起訴
6.裁判
7.判決

ただし著作権法違反の場合、著作権を侵害したコンテンツがアップされていること自体ではなく、著作権を侵害したコンテンツがもたらす金銭的被害が争点に上がることが多くなります。著作物不正利用への金銭請求の法的な性質としては、「不法行為による損害賠償請求」および「不当利益返還請求」がいずれかとなります。

無断転載で逮捕された事例はいくつもあるので、逮捕に追い込める可能性は十二分にありますが、手間暇とお金をかけて、リターンが得られるかは考える必要があるでしょう。

無断転載は法律違反で逮捕されます!
民事裁判をする場合は弁護士に依頼を

無断転載は著作権侵害にあたるほか、場合によっては名誉毀損罪や著作者人格権の侵害にもあたるので、法律違反で逮捕されます。

また逮捕まではいかなくても、上記のように使用料を請求して、著作権侵害をしたサイトに400万円を支払わせたケースもあるので、何かしらの処分を下すことはできるでしょう。

いずれにせよ、刑事告訴や民事裁判をする場合は交渉や手続きが必要となるので、弁護士を使うのが賢い選択といえるでしょう。

 

弁護士法人ATB
これまで、インターネット匿名掲示板等での『誹謗中傷』に悩む企業や人の相談を 1500 件以上受け、迅速に解決してきた弁護士事務所です。
「5ちゃんねる(2ちゃんねる)」「爆サイ」「ホスラブ」「Twitter」など、数10種類以上のWebサイト、SNS、掲示板の投稿への削除依頼、発信者情報開示請求(投稿者の特定)等に、プロフェッショナルとして幅広く柔軟に対応しています。