誹謗中傷対策マニュアル
MANUAL

2020.03.19

ネット問題

「デジタルタトゥー」ネットでの誹謗中傷・風評の刻印への対処方法

  最近聞くようになったのだけど、”デジタルタトゥー”って何かしら?もちろんタトゥーはわかるわ。あっ、特別な機械をつかって新しい方法でタトゥーを入れるのかな?
  残念だけどそれは違うよ…。デジタルタトゥーはインターネット上にずっと残る個人情報や風評、誹謗中傷のことを指す言葉なんだ
  それってとても怖いね…。一体どんな危険があって、どう対処すれば良いんだろう?
  そうだよね、心配だよね。今回はそんなデジタルタトゥーについてわかりやすく解説していくよ

 

目次

テレビドラマでも話題になった「デジタルタトゥー」とは?

デジタルタトゥーとはネットに残り続ける「あなた」の痕跡

「デジタルタトゥー」とは、インターネット上に残り続けるあなた自身の痕跡のことを指します。痕跡にもさまざまありますが、過去のソーシャルメディアでの発言や投稿した写真や動画、さらにそれらから割り出せる個人情報(住所や連絡先、就職先や結婚・家族の有無など)、自身の勤務先などの風評、すでに償い終わったものも含めた犯罪歴などがあります。

これらの情報が何かのきっかけで注目されることで、過去がほじくり出されてネット上で広く拡散されることがあり、さらに事実と異なる解釈をされ、デマという形であらぬ疑いや誤解を招く場合があります。

ネット上にはSNS、掲示板、ブログなどさまざまな情報を拡散させるルートが存在するため、エゴサーチを行うとしても個人でそうした情報すべての在り処や内容を把握することが難しく、ネットから削除することは困難とされています。

就職や結婚など、デジタルタトゥーの影響はこんなにも大きい

デジタルタトゥーの存在がきっかけになり、就職取り消しや結婚が破談になってしまうケース、いじめに発展するケースが発生しています。

例えば就職の場合、SNSへの投稿した学生時代の悪ふざけを内定先にみられてしまい、心証に大きく影響することがあります。近年、企業の採用活動では学生が使用しているSNSの個人アカウントもチェックの対象とされることが当たり前になってきました。もちろん採用担当者が就活生のSNSアカウントを見ているかどうかは学生に伝えられることはなく、”いつの間にか”見られているのです。

もっとも、就活生の側も就職活動にそなえ、不適切な投稿を消していることもあるでしょう。自身のSNSアカウントから不適切な投稿を削除さえすれば採用担当者に見られることはないと考えるからです。

しかし、SNSのチェックを徹底している企業の場合、削除し損ねた投稿を見つけ出したり、ときにはその交友関係から過去の悪ふざけが見つけたりすることもあります。また、このときの悪ふざけがネット上で炎上していた場合には、就活生が自身のSNSアカウントやブログから不適切な投稿を削除してもネット上にスクリーンショットやWeb魚拓に転載されていることがあり、それが採用担当者の目に留まることがあります。

お見合いや結婚の場合も、就職への影響と同様ですが、過去の悪ふざけの履歴だけでなくこれまでの恋愛遍歴に相手方の目が留まることがあります。過去の交際相手との関係にまつわる情報やそのときの画像が、ネット上に残り現在の交際相手やお見合い相手、その家族など関係者に伝わってしまうかもしれません。

さらに現代では、自身の性的な画像・動画が第三者にもわたってしまう「リベンジポルノ」も大きな社会問題となっています。

いじめにおいても同様で、ネット上に残っている様々な情報から、自身のプライバシーにまつわるもので攻撃しやすい要素を見つけられてしまい、それらがLINEなどのチャットツール内の複数人で共有、いじめに発展する場合が考えられます。

このようにデジタルタトゥーは、就職の失敗や結婚の破談、いじめに発展することのほかにも、自身の運営する会社やお店への誹謗中傷やデマ情報がネット上に残り、営業の継続や発展が阻害されることもあります。しかもたちの悪いことに、こうした情報を探しだし、拡散する人たちは「悪いことをしている者は強く罰して当然」という強い正義感に駆られていることが多く、情報の真偽を確かめないまま情報の拡散を続けている場合があります。仮に彼らが拡散した情報について間違いがあることにあとから気付いたとしても、すでに広まった情報は多くの場合は訂正が間に合わず、間違った情報がそのままひとり歩きすることもあるのです。

デジタルタトゥーの発生場所と被害

それでは次にデジタルタトゥーと呼ばれる情報がどこから発生し、どのような被害を与えるのか詳しく考えていきましょう。

バカッター(Twitter等での不適切発信)

俗に「バカッター」とも呼ばれるTwitterでの炎上は、デジタルタトゥーの最たる例かもしれません。

Twitterは世界中で多くのユーザーが利用しており、その年齢や性別・職業・居住地域もさまざまです。しかも、利用に必要なのはメールアドレスのみで、本名で登録する必要もなければ前述の年齢や性別をごまかして使うことも可能です。

こうしたユーザーのなかには、ネット上で見つけた悪ふざけ動画をTwitterに転載したり拡散したりする者もいます。投稿は不特定多数のユーザーの目にふれるばかりか、投稿が「いいね・リツイート」されることでどんどん広がっていきます。

最初は仲間内でのちょっとした悪ふざけのつもりでも、Twitterを介すことで何千~何万もの人に知られてしまうのです。さらにはこうしたTwitterでの炎上はニュース番組で取り上げられることもあり、さらにその拡散や誹謗中傷を促し、5ちゃんねるなどの匿名掲示板にも転載されたり、発信したSNSアカウントの個人情報特定の作業が進んだりすることもあります。

最終的に学校や就職先などにも事実が知れ渡り、停学や退学、停職や解雇につながる可能性だけでなく、問題とは無関係の個人情報が広まったり、所属元のブランドや信用を損ねたりすることもあります。

バイトテロ

前述のバカッターに掲載される炎上の例としては、「バイトテロ」があげられます。バイトテロは店舗のアルバイトスタッフの不適切な行為がネットに投稿されることが原因で炎上し、企業のブランドや信用に多大な被害をもたらすものです。

飲食店であれば「営業用の食品用冷蔵庫や調理機材のなかに人間が入る」、「食材を粗末に扱う」、「ふざけながら調理する」などの衛生面にかかわる悪ふざけ画像・動画に端を発することが多いです。

こうした投稿を目にしてしまった消費者は、「その店にもう行きたくない」と考えるだけでなく「不適切な人材を雇っている企業側の体制にも不信感がある」といったことにつながりかねません。

これらは企業側にとって大きなブランド損失になりますし、設備や食材などの交換だけでなく、店舗の休業・廃業に迫られることもあり経済的な損失にもなりえます。
そして不適切な投稿をしてしまったアルバイトスタッフは、企業側からの損害賠償請求のみならず、ネット上での誹謗中傷、個人情報の特定・暴露など、必要以上の社会的制裁を受けてしまうことがあります。

リベンジポルノ

大きな社会問題となっているリベンジポルノ。「そもそも撮らなければよかったのに」といった冷たい見方もありますが、性的な画像・動画が外部に出回っていいはずがありません。撮影自体も自発的ではなく、暴力や弱みを握られたことによる強制的なものである場合もあるでしょう。

そしてパートナーとの別れ話がもつれた場合や一方的な逆恨みをきっかけに、こうした動画や画像がTwitterなどのSNSや匿名掲示板、動画サイトなどにアップロードされることがあります。内容を見られるだけでなく、個人情報の特定や別の嫌がらせに発展することもあります。結果的に仕事をやめざるをえなくなったり、引っ越しを迫られたりすることにもつながります。

Google検索のサジェスト

「Google検索のサジェスト」とは、Google検索の検索フォームにキーワードを入力した際、一緒に検索されることの多い2つ目、3つ目のキーワードを自動表示する機能です。「検索予測」や「予測変換」と呼ばれることもあります。そしてこれらで表示されるキーワードのことを「サジェストキーワード」「予測キーワード」といいます。

こうした機能で表示されるキーワードは、確かに検索されることが多いキーワードであり、人の興味をそそるようなものが多いですが、必ずしも真実とは限りません。
人気アイドルの名前を検索した場合を想定してもらえるとわかりやすいでしょう。名前のあとに「結婚」、「学歴」、「家」といった個人情報にまつわるキーワードが表示されるのではないでしょうか?

もっともこうした対象は人物のみならず、企業にもみられます。企業名を検索したあとに「ブラック」、「不正」などのマイナスイメージにつながるものが表示されるケースです。個人情報ではないかもしれませんが、いずれも企業の採用活動や業績、存続に影響しかねません。

Googleマップの「口コミ」評価

「Googleマップ上に記載される店舗などへの口コミ評価」も、デジタルタトゥーの一例です。

Googleアカウントさえあれば簡単に書き込める口コミのなかには、正当な評価だけでなく難癖に近い身勝手な評価もみられます。

しかも、Googleマップの口コミはGoogleが設置したものであって店側が意図して設けたものではないため、誹謗中傷が行われていてもに気付いていないことも多いのが特徴です。気付いたときにはそうした誹謗中傷の影響ですでにお客が減っていたということもあり得るのです。

匿名掲示板での誹謗中傷、名誉毀損など

5ちゃんねる、ホストラブ、雑談たぬき、爆サイなどの「匿名掲示板」では、ユーザーによる著名人・一般人にかかわらず誹謗中傷や名誉毀損が頻繁に行われています。匿名であることを盾にして、面白半分で個人情報を流したり根も葉もない噂を書いたりするユーザーが跡を絶ちません。

しかも掲示板の投稿は、掲示板の投稿をまとめた「まとめサイト」やSNSに転載されることでさらに広がっていきます。

居住に関する近隣トラブルや風評被害・誹謗中傷

「居住に関する近隣トラブル」も、デジタルタトゥーとしてネットに残ることがあります。情報の発信源としては「マンションコミュニティ」や「大島てる」「e戸建」などの不動産に関連する掲示板で、やはりユーザーが自由に書き込むことができるものです。

こうした掲示板には特定の物件や些細な近隣トラブル、殺人事件に至るまでさまざまな内容が書き込まれます。やはり掲示板という特性上、情報には誤りがあることや、特定の人物や企業などを不当な理由で攻撃するものもあります。

その他

ここまで紹介したほかにも、デジタルタトゥーとしてネットに残り個人や企業に多大な損害を与える情報源がたくさんあります。

ひとくちにSNSといってもTwitter以外にFacebookやInstagramなどがありますし、ネット上にもmixiなどのコミュニティサイトや個人ブログ等、不特定多数の人物が自由に発信できるプラットフォームが存在します。

そうしたプラットフォームへアクセスするためのIDやパスワードを利用者本人が忘れることで利用が遠のいていたとしても、悪意をもった何者かが不正にアクセスしたり、古い投稿を掘り返したりすることで炎上することもあります。

デジタルタトゥー事件簿

それでは次にデジタルタトゥーに関連した事例をいくつか紹介します。

 Google検索のサジェストで自分の名前と犯罪歴が表示され、解雇された

ある男性が、インターネット検索サイトGoogle(グーグル)に表示された犯罪歴削除の仮処分申し立ての裁判を起こしましたが、最高裁は検索結果の削除を認めない決定をしました。

判決理由として「検索サイト側の表現の自由と表示される側のプライバシー保護を比べ、“公表されない利益が優越することが明らかな場合に限って削除できる”」と削除には厳格な要件を求める初の統一判断を示しています。「忘れられる権利もある」との主張が焦点になった裁判でしたが、検索サイトの公共性が重視される結果になりました。

▼最高裁判例 平成28(許)45  投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 平成29年1月31日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/482/086482_hanrei.pdf

▼最高裁、「グーグル」結果削除は公共性を重視 初の統一判断(日本経済新聞)https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG01H1Z_R00C17A2000000/

Googleマップの「口コミ」、来店者トラブルで一方的に「口コミ悪評価」

最近、書き込みが充実してきた「Googleマップ」の飲食店やクリニックなどの口コミ情報ですが、誹謗中傷やそれに近い内容を一方的に書き込まれ、口コミを書かれた側としては風評被害となるケースもあるようです。

このような被害を受けた場合は、Google上の手続きを踏んでの削除依頼を行い、それでも解決しない場合はネットに強い弁護士を通じて書き込んだ相手の特定・裁判手続きを検討する必要があります。なお、犯罪予告などを書き込まれた場合は、ただちに警察署に相談するようにしてください。

犯罪自慢・素行不良の「バカッター」「バイトテロ」で名門大生停学へ

騒動になったのは大手コンビニチェーン店のアルバイトスタッフのツイートです。店頭で行われていた「購入金額700円ごとに引けるくじ」のキャンペーン中に、このアルバイトスタッフが当たりくじを盗んで高額な景品を私物化してしまったのです。そしてこともあろうにその事実をツイートしていたことから炎上してしまいました。

本人は自慢話のつもりだったのかもしれませんが、あっという間にアルバイトスタッフの個人名について特定が進み、大学より無期限停学の処分を受ける事態となりました。

人気女子アナ番組降板、理由は「リベンジポルノ」

有名女性アナウンサーの不倫に関連したリベンジポルノ写真が、写真週刊誌に袋とじで掲載され騒動になりました。男性側が雑誌に写真を売り込んだという説が濃厚でしたが、写真がネット上で拡散され、さらに女性アナウンサーだけでなく相手方の特定もネット上で進み、炎上しました。

▼人気女子アナ「全裸ベッド写真」流出騒動、リベンジポルノなら「悪質な犯罪」との声も
https://www.excite.co.jp/news/article/Menscyzo_201509_post_10499/

デジタルタトゥー対策

それでは具体的なデジタルタトゥー対策についてご紹介していきます。

自分・自社が被害者の場合

自分・自社が被害者なのか加害者なのかによって、デジタルタトゥーへの対策は変わってきます。まずは被害者を想定した場合からみていきましょう。

自分や自社などの悪い噂、エゴサーチで発生源を確かめる

まずは事態を把握することから始めていきましょう。ご自身の名前や働いている企業名、心配される事柄に関連するキーワードを単体、あるいは組み合わせてネット上で検索し、どのような書き込みが行われているか調べていきます。

証拠保全の上で削除依頼を行う

該当する投稿を見つけたら、URLを含むPDFやスクリーンショットで書き込み状況を保存することが有効です。

ネット上の投稿は、多くの場合、後からいくらでも編集したり削除したりすることができますから、見つけたら間髪を置かずに保全に動く必要があります。

削除窓口がない、あるいは応じてもらえない

削除のための窓口が見当たらない場合や、投稿を行ったユーザーが削除に応じない場合は弁護士に相談する必要があります。

このときはネットに強い弁護士に相談を行い、適切な手順を踏んでいく必要があります。場合によっては相手を特定するための開示請求も検討しなくてはなりません。なお、弁護士以外の業者などが、トラブル解決を謳い、このような案件の解決が可能としている場合がありますが、誹謗中傷や名誉毀損に関する損害賠償請求や示談について、弁護士以外のものが報酬を貰って行うことは法律違反となります(非弁行為)。

自分・自社社内からの投稿・書き込みの場合

次に自分・自社が加害者になった可能性のある場合をみていきましょう。

エゴサーチ等で拡散度合いを確認

検索等をして、どこまで情報が拡散されているか確認しましょう。自分の意図や実際の行動とは無関係なSNS、ブログ、Webサイト以外にも拡散されている場合があるので可能な限り目を通す必要があります。

書き込み元・拡散先等、証拠保全の上で削除依頼を行う

自身が投稿した内容に間違った情報が加えられて拡散されることもあります。事実とは異なる疑いまでかけられないようにするためにも、スクリーンショットやPDFなどでしっかりと証拠を保全し、掲載元・転載元へ削除依頼を出しましょう。

削除窓口がない、あるいは応じてもらえない

削除窓口がない場合、応じてもらえない場合も放置してはいけません。弁護士に相談できるのは被害者側だけではありません。加害者側も相談することができます。

企業の場合、再発防止対策を講じる

個人としての投稿ではなく企業および社員としての投稿が問題になった場合には、社内でソーシャルメディアガイドラインなどを設けて再発防止を徹底しておくとよいでしょう。社内で適切な判断ができない場合には、弁護士などに相談してどういった投稿が問題になるのか、どのようなフローを経て投稿すべきかなどを相談するとよいでしょう。

その他

ID・パスワードを忘れたSNSなどへ削除依頼をする

ID・パスワードを忘れてしまい、使わなくなったSNSアカウントやWebサイトは、運営元に削除依頼を出しましょう。投稿時には問題にならなかったものでも、時を経ることで社会的価値観が変わっていたり掘り返されたりすることで、一気に炎上してしまうことがあります。放置は危険です。

加害者への法的対処・損害賠償請求について

加害者の側には投稿者の開示請求や損害賠償請求などが行われることがあります。

いずれの場合も弁護士に相談し、適切な流れで進めていく必要があります。請求が行う側にも行われた側の双方が納得のいく形で解決できるようにするためにも、できるだけ速やかな相談を心がけましょう。

まとめ

デジタルタトゥーは消さない限り、ネット上に残り続けます。

SNSやWebサイトなど複数の媒体を通して拡散されていき、収拾がつかなくなったり全く根拠のない噂話や損害を与えたりすることもあります。事前に、不要な情報を流さないようにするなど、自己防衛をしておくことをお勧めします。

デジタルタトゥーの被害にあった場合、また、加害者になった可能性のある場合にも、まずは削除依頼や証拠保全の準備を進めるとともに、ネットに強い弁護士への相談も検討してください。

 

弁護士法人ATB
これまで、インターネット匿名掲示板等での『誹謗中傷』に悩む企業や人の相談を 1500 件以上受け、迅速に解決してきた弁護士事務所です。
「5ちゃんねる(2ちゃんねる)」「爆サイ」「ホスラブ」「Twitter」など、数10種類以上のWebサイト、SNS、掲示板の投稿への削除依頼、発信者情報開示請求(投稿者の特定)等に、プロフェッショナルとして幅広く柔軟に対応しています。