誹謗中傷対策マニュアル
MANUAL

2020.03.28

ネット問題

ネット上の逮捕歴、前科の削除方法と放置した場合どんな影響あるのかを解説します

ネットで注目されると、どのような軽犯罪でも炎上して広く拡散され、長くネット上に残るらしいですね。
逮捕歴や前科などが残れば就職、転職、仕事や私生活にも支障をきたすかもしれないね。そういった情報は、うまくいけば削除できるので、その方法を詳しく紹介していくよ。

 

 

目次

ネットに残る「逮捕歴」

ネットに逮捕歴が掲載された場合、一定期間の後に削除されるケースもあれば、申請しなければ削除されないケースもあります。どれぐらいの期間、ネット上に残るのか詳しくご紹介します。

原則として、逮捕歴、前科・前歴情報はどれくらいの期間ネットに残るのか

逮捕歴、前科・前歴情報がネットに残る期間は次のとおりです。

新聞社・通信社の場合

大手新聞社は、約3ヶ月~半年程度でネットから記事を削除します。なお、産経新聞は一部の記事を除き、2015年以降に投稿された記事であれば、基本的にネットで閲覧できるようです。

ブログの場合

ブログ記事は、基本的に投稿者本人、あるいはブログサービスの停止時以外では原則的に削除されることはありません。その場合、ブログサービス運営元に申し立てて削除を請求します。なお、ブログ運営者を特定して損害賠償請求を行う場合、Whois検索やログ情報(IPアドレスなど)の開示請求などによりブログの運営者の特定が必要になる場合があります。

SNS・匿名掲示板の場合

SNS・匿名掲示板の運営元に削除を申請する必要があります。また、投稿者を特定する必要がある場合は、ログ情報(IPアドレスなど)の開示請求が必要になります。特に、SNSで投稿された場合は瞬く間に拡散され、収拾がつかなくなる可能性があるため、迅速な行動が求められます。

逮捕歴は不起訴になっても消えない?

逮捕歴が掲載された後に不起訴になっても、続報として不起訴になったと報じられるとは限りません。そのため、逮捕された記事だけがネット上に長く残り、拡散される可能性が高くなってしまうのです。

「前科は10年で消える」って本当?

禁固以上の刑の執行終了後、または不起訴となってから10年(罰金刑では5年)が経つと、本籍地の市町村が保管している「犯罪人名簿」に記載された名前が削除されます。警察や検察など司法関係の機関に保管されている資料からは削除されません。なお、犯罪人名簿は公的機関しか閲覧できないため、前科者として記録が消えても消えなくても状況は変わらないでしょう。

ネット上の「逮捕歴」は基本、ほっておいても消えない

ネット上の「逮捕歴」が記載された記事や書き込みは、逮捕から時間が経てば閲覧数や拡散の頻度が減ると考えられますが、掲載期間が限定されているネットニュースを除き、多くは削除されません。自分の名前でネット検索(エゴサーチ)すると逮捕歴が出てくる状態は、早く解消したいところでしょう。

ネット上の逮捕歴や前科・前歴の削除基準は?

ネット上の逮捕歴や前科・前歴は、どうすれば削除可能なのか、その削除基準とあわせて詳しくご紹介します。

ネットに残る逮捕歴や前科・前歴の削除は可能か

プライバシー権の侵害として、ネット上の記事を削除させることは原則的に可能です。ただし、逮捕に関する情報は世間一般に役立つ公益性の高い情報でもあるため、一般国民が有する「知る権利」に基づいています。そのため、全ての逮捕歴を必ず削除できるわけではありません。

【削除基準】事件発生からの時間が経過したか

事件発生から時間が経つにつれて、逮捕に関する情報は世間一般に対し役立つ度合いが低くなっていきます。しかし公益性の有無などについて現状で明確な基準は設けられていません。事件の性質や社会的な関心の度合いによって、案件ごとに判断基準が異なっているのが現状です。目安ではありますが、公益性における削除基準を満たすまでに数年かかる可能性が高いでしょう。

【削除基準】 不起訴・起訴の場合は執行猶予になっているか

逮捕されたものの不起訴になったケースでは、削除請求が認められやすいでしょう。また、執行猶予つきの判決となった場合は、実刑を受けた場合と比べて削除請求が認められやすくなっています。ただし、執行猶予期間が終了していることが1つの目安となるため、判決後すぐに削除請求をしても認められない可能性が高いでしょう。

【削除基準】更生への取り組みがされている

執行猶予期間が終了していたり、刑期が満了していたりして、社会復帰を果たしているような場合は、削除請求が認められる可能性が高くなっています。逮捕歴を誰でも閲覧できるような状態は、更生後の生活に悪影響を及ぼす可能性があり、その状況を斟酌して削除が認められる場合があります。

【削除基準】削除の必要性の有無

社会復帰を目指して就職活動をしているものの、逮捕・前科記事の影響で応募先企業に採用されないような場合は、事情を詳しく記載した「陳述書」を裁判所に提出することで削除請求が認められる可能性があります。

削除がしやすい場合・しにくい場合

逮捕・前科記事を削除しやすいケースとしにくいケースについて詳しくみていきましょう。

削除がしやすい場合

前述した【ネット上の逮捕歴や前科・前歴の削除基準は?】の条件を満たしているうえに、記事や書き込みの掲載先(SNSや掲示板など)が削除申請用の窓口を設置している場合は、削除申請が行いやすいでしょう。媒体の種類ごとに、削除のしやすさをご紹介します。

SNSなど

削除専用窓口が設置されている場合もあれば、「お問い合わせ」として統合されている場合もあります。

匿名掲示板など

削除申請窓口が設置されているケースが多くみられます。申請の容易さは掲示板で異なり、また申請方法にも細かいルールが定められている傾向があります。

メディア・ブログなど

お問い合わせフォームのみ設置されているケースが多くなっています。また、個人が運営している場合、運営者の方針から削除に応じない場合や、メディア・ブログを放置し連絡がとれない場合もあります。

削除がしにくい、あるいはできない場合

ある事件を巡ってグーグル検索結果からの犯罪歴の削除が認められなかった判例があります。逮捕から10年以上の時間の経過によって社会的な関心は薄れているものの、裁判所の判断として「犯罪内容に鑑み情報を流通させる意義がある」として、削除が認められませんでした。

▼ネットの犯歴削除認めず グーグル検索巡り福岡地裁(産経)
https://www.sankei.com/west/news/180314/wst1803140088-n1.html

また、「グーグル検索結果から削除するリスク」を「プライバシー保護の利益」が明らかに上回る場合に限り削除するべき と、高いハードルを示した例もあります。

▼最高裁判例 平成28(許)45  投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 平成29年1月31日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/482/086482_hanrei.pdf

その他、サイト運営者が削除請求に応じないために、逮捕歴が残される場合もあるでしょう。そのような場合については次の節で解説します。

自分で対応すると失敗リスクが高まることも

逮捕歴の削除請求は、自分で行うと失敗のリスクが高まる可能性があります。例えば、匿名掲示板等で該当の書き込みやスクリーンショットを保存せず、サイト運営者に対して情報不足の形で削除申請した結果、(前の節で解説したように)拒絶されて時間を浪費してしまうことがあります。

媒体個別に対応を進めるのが原則

複数のメディアやブログに逮捕歴についての書き込みが拡散されている場合、媒体別に対応を進めていくことが原則です。なお、1つの媒体に削除申請して認められたとしても、他の媒体もスムーズに削除申請を受け入れて対応するとは限りません。

ネットに詳しい弁護士に依頼することも考える

逮捕歴の削除申請の際には、ネットに詳しい弁護士への依頼も検討しましょう。不適切な内容による削除申請による時間のロスを防ぎ、的確かつ迅速な対応によって、速やかな削除が行われる可能性が高まります。

自分で削除申請をしても拒絶された場合でも、弁護士のサポートを受けて法的に必要な書類を揃えて提出したところ、削除できた事例もあります。

「逮捕記事」による「人生のデメリット」とは?

逮捕記事が存在することで、どのような人生のデメリットがあるのか詳しくみていきましょう。

職場や就転職活動へのデメリット

履歴書に賞罰欄が設けられている場合は、前科を記載しなければなりませんが、記載がない場合は特別な規定がない限り申告する必要はありません。しかし、入社前に会社が個人名の検索など独自に調査をしてネットの逮捕記事を発見し、過去の逮捕歴を知ることで不採用になる場合があります。

交際やお見合い、結婚へのデメリット

交際相手やお見合いした人、婚約した人が自分の名前をネット検索し、逮捕歴があることを知る恐れがあります。また、相手の両親や親族が逮捕記事を見つけ、結婚に反対される場合もあるでしょう。

家族や近隣住民など人付き合いへのデメリット

家族や近隣住民に逮捕歴を知られ、付き合いを断られる、あるいは子どもがいじめにあう可能性があります。場合によっては近隣住民に知られることで、引っ越しせざるを得なくなること考えられます。

賃貸・ローン契約など信用へのデメリット

賃貸・ローン契約など、信用が問われるケースでは、逮捕歴を知られることがマイナスに働く可能性があります。必ずしも、逮捕歴が審査対象になるとは限りませんが、可能性としては十分に考えられます。

「逮捕歴」「前科」「前歴」の違いとは?

逮捕歴や前科、前歴について違いを解説します。

逮捕歴と前科の違い

「逮捕歴」と「前科」は、似ているようで大きな違いがあります。ご存知でしたか? ここでその違いを詳しくみていきましょう。

逮捕歴とは

逮捕歴は、逮捕された事実を指し、起訴・不起訴どちらの場合でも検察庁の犯歴管理に記録が残ります。示談による不起訴処分となっても、罪を犯した事実には変わりがないため、逮捕歴があることは今後の人生に大きな影響を及ぼします。また、証拠不十分による不起訴処分となっても、逮捕歴は残るため注意が必要です。

前科とは

前科とは、起訴され有罪判決を受けて刑を言い渡された事実を指します。逮捕されても、不起訴になった場合は前科がつきません。

前歴とは

前歴は、被疑者として警察や検察などの捜査対象になった事実を指します。一度、疑いがかけられると、真犯人が逮捕されない限り、世間から疑いの目を向けられる恐れがあります。

まとめ

逮捕記事や逮捕歴の書き込みは、削除申請しない限り半永久的にネット上に残る可能性があります。更生しているにもかかわらず、逮捕歴の記事や書き込みによって人生に大きな影響が及ぶことは、避けたいところでしょう。

自分で削除申請することは時間や手続き上のロスやミスが起きやすいため、リスクを避けるためにはITにくわしい弁護士に相談し、迅速な解決を目指すことが大切になってきます。

 

弁護士法人ATB
これまで、インターネット匿名掲示板等での『誹謗中傷』に悩む企業や人の相談を 1500 件以上受け、迅速に解決してきた弁護士事務所です。
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