誹謗中傷対策マニュアル
MANUAL

公開日:2018.06.01 最終更新日:2019.09.02

投稿者の特定

IPアドレスから投稿者を特定する具体的な方法

ネット上で名誉毀損や嫌がらせの業務妨害などを受けた場合には、放っておくと被害が広がるので対応の必要があります。
このとき、投稿者に対して損害賠償請求などの必要な手続きを行うためには、投稿者を特定しなければなりません。
そのために役立つのがIPアドレスです。
今回は、IPアドレスからネット上の書き込みの投稿者を特定する具体的な方法をご説明します。

IPアドレスとは

ネット上で嫌がらせの投稿を受けた場合、投稿者を特定するためには「IPアドレス」が重要な役割を果たします。

IPアドレスとは、それぞれのネットユーザーに割り当てられている番号です。ネットにつなぐためにはIPアドレスが必要なので、誰でも必ず自分のIPアドレスを持っています。

ただ、IPアドレスは個人情報であり、それを管理しているのはプロバイダなので、IPアドレスがわかっただけでは、プロバイダ以外の人は投稿者個人を特定することができません。

IPアドレスから投稿者を特定するには、プロバイダから投稿者の情報を開示してもらう必要があります。

まずはプロバイダを特定する

IPアドレスから投稿者を特定するためには、まずはそのIPアドレスを利用者に割り当てているプロバイダを特定する必要があります。

そのためには、ネット上のサービスを利用すると良いです。

具体的には、「ドメイン/IPアドレスサーチ」というサービスがあり、これにIPアドレスを入力すると、それに該当するプロバイダがわかります。

https://www.cman.jp/network/support/ip.html

プロバイダに対して発信者情報の開示請求をする

IPアドレスからプロバイダが特定できたら、そのプロバイダに対して、投稿者の情報開示を求める必要があります。投稿者個人の情報を持っているのはプロバイダだけだからです。

まずは、任意での情報開示を求めますが、実際には任意開示に応じてくれることは少ないです。プロバイダ側にとって、投稿者は顧客ですし、投稿者の情報を第三者に開示することは、顧客の個人情報を第三者に漏えいすることにつながってしまうからです。

プロバイダは多くの場合、投稿者の情報開示を断りますが、そうなると、投稿者を特定するためには法的な対処が必要になります。

裁判が必要になることもある

プロバイダが任意に投稿者の情報開示に応じてくれない場合には、プロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟という裁判を起こさないといけません。日本には、プロバイダ責任制限法という法律があり、これには、第三者がプロバイダに対して発信者(投稿者)の情報開示を求める権利が認められています。そこで、その権利にもとづいて裁判をすることができるのです。

ただ、どのようなケースでも発信者情報の開示が認められるわけではありません。情報開示が認められるのは、実際に情報開示を求めるものが名誉毀損などの被害を受けていて、情報開示の必要性があるケースに限られます。

そして、裁判で情報開示を認めてもらうためには、訴訟手続き内で、自分が権利侵害を受けたことや情報開示の必要性が高いことなどを、法的な方法で適切に主張・立証しなければなりません。実際に被害を受けていたとしても、適切に証明ができなければ裁判に負けてしまうこともあります。

訴訟において、発信者情報開示が相当であると裁判所が判断した場合には、相手に対して発信者情報開示命令が出ます。そうすると、プロバイダは、判決内容にしたがって投稿者の氏名や住所、メールアドレスや電話番号など、把握している情報を開示してくれます。このことによって、ようやく投稿者を特定することができます。

このように、IPアドレスから投稿者を特定する方法はかなり専門的で、訴訟が必要になるケースも多く、弁護士を必要とする場面が多いです。

当事務所でもネット上の不当な投稿による被害者の救済に力を入れているので、困ったときには是非とも一度、ご相談ください。